3人死亡の生理痛薬「ヤーズ配合錠」に厚生労働省が注意喚起

Text by

  • 10
女性

shutterstock

厚生労働省は、バイエル薬品の製造・販売する生理痛治療薬「ヤーズ配合錠」の副作用によるとみられる血栓症などにより女性3人が死亡したとして、「月経困難症治療剤『ヤーズ配合錠』投与患者での血栓症に関する注意喚起について」の文書を発表、バイエル社に対しては添付文書の改善などを指示した。

日本産科婦人科学会の「低用量ピル」発表を読んでみた(12月28日)で記した5項目を再掲載してみる。

1、低用量ピルは避妊の他、生理不順などの治療に使われている。一方で血栓症を発症することもある
2、海外の調査によると、血栓症の発生リスクは高い順に、出産後(1万人当たり40~65人)、妊娠中(同5~20人)、低用量ピル服用者(同3~9人)、非服用者(同1~5人)
3、低用量ピルは、服用開始後の数か月間に血栓症リスクが高くなるので、継続して使った方が良い
4、タバコを吸っている人、高齢者、太った人の低用量ピル服用には注意が必要
5、低用量ピル服用中に、頭痛、腹痛、けいれん、むくみなどの症状が出た場合には、医療機関を受診する

ヤーズは避妊薬(低用量ピル)としても使用されている。ヤーズに限らず低用量ピルを服用している人は、4と5を注意した方が良いのだが、同省が発表した3人の状況を見ると、それでも不十分なことが推測できる。

3人の経過を簡単にまとめてみた。(注:「処方」と「投与」に分かれているのは投与日が不明なため)

症例1、20代、BMI:17.3、喫煙歴:なし、家族歴:祖父が脳梗塞
月経治療などで投与開始。投与2日後に頭痛。処方9日後にヤーズを処方した病院を再訪して服薬を中止し、別の病院の脳外科の検査予約をした。処方10日後に体動困難。処方11日後に家族がベットで失禁しているのを発見、緊急入院。その2日後に死亡。

症例2、10代後半、BMI:22.7、喫煙歴なし、家族歴なし
子宮内膜症治療などで投与開始、投与499日後に最終処方。投与526日後(死亡推定日)に連絡が途絶える。投与529日後に室内で倒れているのを発見された。

症例3、40代、BMI:23.6、喫煙歴なし、家族歴なし、妊娠2回
月経治療で投与開始。処方207日後に右足がつるとの訴え。投与中止日から2~3週間前に右足の腫れ・痛みで整形外科を受診。処方369日後(投与中止日)に呼吸苦で救急搬送。その19日後に死亡。

3人ともほぼ標準体重で非喫煙者、2と3には血栓症の家族はおらず、1と3は自覚症状から通院していた。これらを踏まえて注意事項を追加するならば、服用している(していた)ことが分かるようにする。もしくは医師や家族に服用を伝えた方が良さそうだ。

同省の発表によると、ヤーズの推計利用者は約18万7000人。「ヤフー知恵袋」で「ヤーズ」を検索すると、4000件を超える相談が寄せられている。それだけ多くの人が悩みを抱えているのだろう。

今後も同省には、適切な情報開示と、場合によっては早急な使用中止を呼びかけるなどの厳格な運用を望みたい。

【関連記事】「家族が飲んでいる薬を知っていますか?」薬に対するリスク管理の重要性

厚生労働省「月経困難症治療剤『ヤーズ配合錠』投与患者での血栓症に関する注意喚起について」

Posted: |Updated:

Text by

注目の記事

前の記事を見る

次の記事を見る

Ranking