社員やバイトの住所が不明、すき家調査報告書に驚きの事実

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すき家

足成

「すき家」の労働環境改善のための調査報告書が発表された。

約3か月間の調査結果

全国で牛丼チェーンを運営する「すき家」の労働問題に関して、第三者委員会から出された調査報告書が発表された。同報告書は、日比谷パーク法律事務所代表の久保利英明弁護士を委員長に、2名の委員と4名の補佐役によって、5月7日から7月30日まで調査や会合などが行われた結果をまとめたものだ。

調査では、取締役会議事録から労使交渉や動労争議に関する資料、労働時間や入退職者の推移などの社内資料の調査に加え、社員やアルバイトなど45名からのヒアリング、全社員561人とアルバイト(資料ではクルーCRなどとも表記)468人を対象にしたアンケートを行っている。

「簡単に内容をまとめて……」と思っていたが、約50ページに及ぶ調査報告書は、実に読み応えのあるもので、数日早く出されていたら、「『第3回 ブラック企業大賞』都議会、ヤマダ電機、秋田書店など9候補(7月30日)」で紹介したブラック企業大賞にシードでノミネートされるか、無条件で大賞に選ばれてもおかしくないほどだ。

と言うわけで、特に驚いたところをいくつか記事にしてみたいと思う。

匿名性の確保できないアンケート

先に書いたように、社員561人とアルバイト468人を対象にアンケート調査を行った。こうしたアンケートで問題になるのは、匿名性が確保されるかどうかだ。

委員会でも送付は会社事務局に任せたものの、回収は委員会に直接送付する方法を指示していた。しかし「会社事務局は、当委員会からの指示を誤解して、社員のうち194名に対しては(中略)直接アンケートを交付し、記載させ、その場で回収した」とある。

これに対して報告書では、「会社回収分によるアンケートは会社が検閲する可能性があることを知った上で、対象者が回答したものであるから、その回答・意見の信用性に若干の疑問もある」としつつも、「必要に応じて適宜紹介する」と苦渋の対応をとっている。

社員からのアンケート回収率は23%

先ほどの194名に関して100%の回収率は当然として、残りの社員367名から返送されたのは、わずかに83通で、割合にして約22.6%に過ぎなかった。報告書では「アンケート対象者に対しては、会社からアンケートに全面協力するよう業務命令が出されている」とのことだったが、むしろ協力するなと業務命令が出されていたかのような結果だ。

またアルバイト468人からの返送率は、229通で約48.9%だ。返送率で社員はアルバイトの半分にもならないのを見ると、「やっぱり社員に『協力するな』とか言ってるんじゃないの?」と感じる人がいても不思議ではないだろう。

住所不明の社員やバイト

最後に驚きの事実がサラリと記載されている。そのまま引用しよう。

なお、ZHD社は社員及びアルバイトの住所を正確に管理しておらず、アンケート用紙を送付した社員367名のうち70名、アルバイト468名のうち49名分が宛先不明で返却されたため、これらについては、再度住所を確認した上で送付することとなった。

2014年3月末時点でのZHD(ゼンショーHD)のアルバイト数は4万6232人。2014年3月末時点のグループ店舗数が4792店で、同時期のすき家の店舗数が約1980店であることから推定すると、すき家の概算アルバイト数は約1万8500人だ。また直接アンケートを配布・回収した社員194人もいる。

そこに「社員367名のうち70名、アルバイト468名のうち49名分が宛先不明」を当てはめると、社員約100人、アルバイト約1900人の住所を把握していない可能性がある。

社員やアルバイトの住所を管理していない会社が、まともな会社と言えるのだろうか。

ゼンショーHD「『すき家』の労働環境改善に向けた改革の実施について」

【一部修正】

社員数の推計に誤りがありましたので、一部内容を修正しました。申し訳ありませんでした。

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