ギャンブル依存者は推計で536万人、矛先がパチンコでなくカジノに向く不思議

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厚生労働省の調査によると、日本でギャンブル依存と思われる人が推計で536万人いるとの結果が出た。

20項目中5項目で依存症

同省の研究班が昨年7月、無作為に抽出した全国の成人男女約7000人を対象に訪問調査を実施。

国際的に使われる指標を元に、「意図していた以上にギャンブルをしたことがある」「やめられないと分かっていてもギャンブルをやめたいと思ったことがある」「ギャンブルをしていることを配偶者などに隠したことがある」「罪悪感を感じたことがある」など20項目に答えてもらい、5項目以上に該当する人を依存症と判断した。

回答を得られた4153人のうち、成人男性は8.7%、成人女性は1.8%が依存症と判断され、総人口(1億2750万人)に当てはめると男性は約438万人、女性は約98万人、合計で約536万人がギャンブル依存症との推計だ。

この割合は諸外国と比較して高い傾向にあり、同班では、身近にパチンコなどのギャンブル施設が多数あるのが原因と分析している。

なぜかカジノがターゲットに

こうした調査結果に基づいて、同省が働きかけを強めているのが、解禁を検討してるカジノ施設だ。先日の報道では、関係省庁に対してカジノを解禁した場合でも利用者を外国人観光客に限定するよう働きかけるとのこと。

19日深夜から20日の未明にかけて広島で集中豪雨があり、多数の死傷者が出た。現在、豪雨に襲われているにもかかわらず、明日の天気を心配する人がいるだろうか。

もちろん将来的な危険性に予防措置を取るのは大事だが、起きている危機を横目に予防に走るのはどうだろうか。今回の件であれば、まず身近にあるパチンコ施設などに対して、新規の建設を制限したり、既存施設の縮小を働きかけたりするのが先ではないだろうか。

2007年の調査と比較すると

同省による同様の調査は2007年にも行われた。この時は成人男性の9.6%、成人女性の1.6%が依存症と判断された。当時の総人口(約1億2803万人)に当てはめると、男性は483万人、女性は76万人、合計で約559万人となる。

つまり2回の調査を比較すると、ギャンブル依存症の人は減っていることになる。

ギャンブル市場は縮小傾向

携帯電話税に続いてパチンコ税が議論に、市場縮小に拍車がかかるか(6月22日)」の記事に書いたように、日本のギャンブル市場規模は確実に縮小している。

かろうじて堅調なのは、中央競馬と宝くじやtoto関連くらい。先日、船橋オートレースの廃止が発表されたように、地方競馬や他の公営ギャンブルは厳しい状況にあり、パチンコ店は減少、麻雀荘は激減している。

これは新たな顧客になるはずの若年人口が減少している上に、長引く不況で娯楽に使える支出も減少しているからだ。インターネット販売、ガールズケイリンなど、運営側の努力も続いているが、増加どころか減少幅を少なくするのがやっとだ。

日本のカジノの成否は?

近隣のアジア諸国を見ると、香港、マカオ、韓国、シンガポール、フィリピンなどにカジノがある。また台湾では、2013年に観光賭場管理条例が制定され、早ければ2017年にも離島(中国大陸近くの馬祖島が有力)に建設されると見られている。

もちろんアメリカやヨーロッパにもカジノは多数ある。そうした中で、「日本のカジノに行こう」と考える外国人観光客はどのくらいいるだろうか。

日本人向けに開放したとしても、物珍しさに1・2度行くことはあっても、リピーターになる人はどの程度いるだろうか。もっともリピーターになったらなったで、厚生労働省の危惧に該当するのだが。

一部議員や行政が躍起になるほど、カジノが成功するとは思えない。ただし失敗を見越したうえで、企業に内部留保を吐き出させる意図があるのならば、それはそれで面白そうだ。

6年後の東京オリンピックを経て、10年後にはお台場にかつてカジノだった廃墟が見られるようになるかもしれない。

厚生労働省「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」

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