イオンが従業員向け保育所に着手、肝心の保育士は集まるか

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流通大手のイオンが従業員向けの保育所の設置を進めていることが分かった。

女性管理職増加を目標

報道によると、イオンが計画しているのは自社が運営する商業施設内の保育所で、2015年の春に都内店舗に第1号を開設した後、2016年には15か所程度、2018年には福井県を除く46都道府県にそれぞれ1か所以上設置する計画とのこと。

現在、イオンの国内正社員は約7万人、その内、女性社員の割合は約36%だが、管理職となると約10%まで下がる。そこで同社は、女性管理職の割合を2016年までに30%、2020年までに50%にするとの目標を掲げている。

このため育児休業を3年間設けたり、時短勤務の選択を増やしたりと、女性従業員の労働環境を整えつつある。従業員向けの保育所もその一環だ。

増えない事業所内保育所

厚生労働省の「平成24年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」によると、事業所内保育施設の数と預かり児童数は、1998年に3549か所、約5万4000人だったのが、2012年には4349か所、約6万6000人となっている。増えてはいるが、期待している程ではない。

これは「通勤ラッシュに子供を連れていけない」「親が病気の時に預けられない」などの使い勝手の悪さと共に、「思ったほど利用者が増えない」「想定以上に費用がかかる」など企業側の理由もある。

行政も保育所を地域に開放することや、低年齢児の受け入れを拡大することなどを条件に補助金の拡大を進めているが、効果が表れるのはもうしばらくかかりそうだ。

資生堂やローソンの場合

コンビニチェーン大手のローソンが、先日、事業所内保育施設「ハッピーローソン保育園」開園を発表した。本社ビル内に20人程度の子供を預かる計画で、既存の企業内保育と似た内容だ。

気になる保育料だが、発表では明記していないものの、報道によると5万円程度になるとのこと。これは他の企業内保育所と同じ水準で、認可外保育施設は補助が薄い(地域によっては手厚い補助もある)ため、保育料が高くなりがちだ。

東洋経済オンラインの報道によると、同様の企業内保育所を設置した資生堂では、5万円(0~2歳)、もしくは3万円(3~5歳)の保育料を設定しているものの、満員でも保育料は人件費の半分程度とのこと。

ヤクルトの場合

こうした企業内保育所で実績を挙げているのが飲料販売のヤクルトだ。各地の販売店に併設したり、地域ごとに保育所を設けたりして、従業員の子供を預かっている。

保育料は月5000~7000円程度、給食などがあると1万円前後の設定だ。一部では保育所を従業員以外に開放している場合もあるが、保育料は一般的な認可外保育同様に、5万円程度に跳ね上がる。

ただしヤクルトの企業内保育所は、扶養の範囲内で働く女性をメインにしているようで、先述したローソンや資生堂とは、状況が異なると考えた方が良い。

保育士は集まるか

報道を見ると、イオンの企業内保育所は、育児休業中の従業員の復職と、育児中ながら職(パートタイム)を求める親の両方をターゲットにしているようだ。ヤクルトとローソン・資生堂を合わせた格好だろう。

しかし「明らかに勘違いな『准保育士』資格の導入(3月23日)」「待機児童問題だけではない!保育士不足が深刻な首都圏エリア(2013年12月29日)」の記事にもあるように、全国的に保育士は不足している。

下記サイト「保育のお仕事」の企業内保育所の東京都内求人をみると、先に書いた資生堂をはじめ、日本郵船、読売新聞、NTTデータなど有名企業がズラリと並ぶ。

しかしほとんどが契約社員で基本給15万円程度。資生堂は正社員の保育士を募集しているが、月給18万5000~19万5000円だ。これが地方だったり、非常勤やパートだったりすると、さらに条件は悪くなる。

時給1000円の1日8時間で月20日間働くと16万円になる。保育士が「保育士よりイオンのパートの方が良いなぁ」とならなければ良いのだが。

厚生労働省「平成24年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」

ローソン「事業所内保育施設『ハッピーローソン保育園』開園」

保育のお仕事「東京都の企業内保育の求人結果」

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