最低賃金改正、生活保護との逆転現象解消は表面だけ

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厚生労働省が全国の地域別最低賃金の改定結果を発表した。

地域差が拡大

同省の発表によると、全国平均の引き上げ額は16円、平均時給は780円となった。10月1日から順次実施されることになっている。

改定後の時給が一番高いのは、東京都の888円、次いで神奈川県の887円、大阪府の838円、埼玉県の802円、愛知県の800円だ。反対に時給が最も低いのは、鳥取県、高知県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、沖縄県の677円。

引き上げ幅が最も高いのは、千葉県の21円、次いで愛知県の20円、東京都、神奈川県、大阪府の19円だ。上げ幅の低いのは、岩手県、鳥取県、徳島県、高知県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の13円。

これにより最高時給額と最低時給額の差は、前年の205円から211円に広がっている。

逆転現象の解消

「平成26年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント」に「平成20年の改正最低賃金法施行後、初めてすべての都道府県において、最低賃金と生活保護水準との乖離が解消される見込み」とある。これを受けてか、ほとんどのメディアが「逆転現象の解消」を報じている。

「逆転現象」とは、生活保護の受給水準と最低賃金で働いた場合の手取り額とを比較して、生活保護の方が高くなることを示す言葉で、「生活保護者を優遇している」「勤労意欲が失なわれる」などとして、批判の対象になっていた。

本当に解消されたのか

生活保護の受給水準と最低賃金で働いた場合の手取り額を比較するために同省が採用する計算式が、実情を反映していないことや、数値の基準がダブルスタンダードであることは、多方面から指摘されている。

さらに生活保護の受給者は、住民税が免除され、医療費や教育費も不要、上下水道の基本料やNHK受信料なども無料となっている。これらを勘案すれば、逆転現象が解消されたとは、とても言えないはずだ。

根本的に考えれば、労働時間や労力と引き換えに得た賃金が、何もしないで貰える生活保護を、ようやく上回ったくらいで懸命にアピールするのも滑稽な話だ。

これでは生活保護の受給者が減らないのも当然だろう。

厚生労働省「全都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」

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