岸壁整備事業と鉄道事業で外れ予測多数、ずさんな業者選定と文書保管

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線路

足成

全国市民オンブズマン連絡会議が、コンテナ埠頭の岸壁整備事業と第三セクター形式による鉄道事業の需要予測調査を発表した。

過去10年間の事業を対象

調査は、過去10年に供用を開始した岸壁整備事業の52か所、鉄道事業の23か所を対象として、国土交通省の地方整備局や事業主体などに問い合わせを行ったもの。

結果として、達成率の調査ができたのは、鉄道事業は22あったものの、岸壁整備事業では6事業に留まった。

岸壁整備事業は大半を破棄

岸壁整備事業は対象となった52事業の内、33事業で需要予測資料を破棄したとの返事だったとある。これは予測文書の保存期間を5年間としているためで、必然的に達成率の調査が不可能になる。

発表では「予測資料が説明責任を果たすために必要だ、という認識がないこと自体問題である。こういった無責任な姿勢がムダな公共事業の連鎖を生み出しているのでは」と指摘している。

整備中や未供用の8事業を除くとしても、整備部分の細かな実績集計がないため、達成率調査が不能な事業も多数ある。事業に対する認識の甘さと言う意味では、こちらも無責任な姿勢だろう。

予測達成は1事業のみ

達成率が算出できた6事業を北から順に挙げよう。

苫小牧港は予測13万6000TEU(twenty-foot equivalent unit:20フィートコンテナ換算)、実績13万3000TEU(達成率97.8%)、新潟港は予測6万2000TEU、実績1万3000TEU(同21.0%)、名古屋港(飛鳥ふ頭南地区)は予測320万000TEU、実績23万6000TEU(同73.8%)、名古屋港(鍋田ふ頭地区)は予測220万000TEU、実績19万2000TEU(同87.3%)、四日市港は予測11万100TEU、実績7万9000TEU(同71.2%)、長崎港は予測5000TEU、実績6000TEU(同120%)だ。

皮肉なことに、稼働率が上回っているのは最も規模の小さい長崎港で、桁の違う他の港ではことごとく下回っている。

もし民間企業がこんな予測や実績で事業展開をしていれば、小さな黒字を大きな赤字で食いつぶして倒産しているだろう。

鉄道事業は20路線で未達

鉄道事業は達成率が算出できた22路線の内、20路線で達成率100%を下回っていた。

50%未満も9事業あり、京阪電鉄中之島線(達成率20.3%)、名古屋臨海高速鉄道西名古屋港(22.0%)、大阪市交通局8号線(22.6%)、京都市交通局東西線(25.1%)、福岡市交通局3号線(29.3%)のように、20%台が5事業もある。

発表で指摘しているのは、予測を委託した事業者の契約の多くが随意契約や入札なしで決まっている点だ。さらに予測事業者に事業主体の職員などが役員として天下りしている例もあるとのこと。まさにスブスブの関係だ。

2つの問題点

発表では、予測業務のチェックの徹底と結果に基づいた予測業者の選定の重要性を指摘した上で、「少なくとも鉄道事業について需要が予測値の50%を下回る調査をした業者については、注意が必要」としている。

そしてそのために文書保管の徹底も求めている。事業によっては完成までに何十年もかかるものがある。それを考えれば5年は短すぎる。一律に年月で区切るのではなく、完成から検証が行われるまでは保存すべきだろう。

全国市民オンブズマン連絡会議「公共工事の需要予測の外れ調査」

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