日本のビール文化の終焉か、与党から発泡酒や第3のビール増税案

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ビール

足成

ビールや発泡酒の税率を一本化する方針が明らかになった。

ビールの酒税見直し

報道によると、政府・与党は、ビールや発泡酒にかかる酒税を見直し、将来的に一本化する方針を明らかにしたとのこと。

与党の税制調査会で議論の後、12月にまとめる2015年度税制改正大綱で具体化、メーカーとの調整を終えて、2016年以降に実施すると見られている。

まず第一弾として、発泡酒と第3のビールを統合し税率を引き上げる一方、ビールの税率を引き下げる方針により、ビール類全体の税収が変わらないようにするとのこと。

ビールの税率は?

ビール類の税率を見てみよう。

発泡性酒類の1キロリットル当たり基本税率は22万円だが、発泡酒(麦芽比率25~50%未満)は17万8125円、発泡酒(麦芽比率25%未満)は13万4250円、その他発泡酒は8万円だ。

第3のビールは「その他発泡酒」に含まれ、他のビール類と比較して6割から3分の1程度しか課税されない。

報道によると、与党関係者は「同じようなアルコール飲料で、税額が異なるのは税制上問題」や「メーカー各社の競争環境をゆがめている」と考えているそうだ。

前者はともかく、後者に関しては「企業努力はどうなるの?」と考える人が多そうだ。

減っているアルコール消費

国税庁の資料から国内における酒類販売の推移を見てみよう。

国内消費が多かったのは平成一桁の頃で、年間約960万キロリットルだった。これが近年では、約850万キロリットルにまで減っている。

消費される酒の種類も大きく変わった。

平成一桁の頃は約70%がビールだった。しかし近年では約30%に過ぎない。ビールが減った一方で、平成10年頃から増えたのは発泡酒であり、平成20年頃からはリキュールが伸びている。

「リキュール」ではピンとこないかもしれないが、チューハイを含めたカクテルの類いだ。

リキュール(アルコール分13度未満)の税額は1キロリットル当たり12万円。発泡酒(17万8125円、13万4250円)より安く、その他発泡酒(8万円)より高い。

今回の見直しにより、区分が無くなる発泡酒の税額は、10万円を超える可能性が大きい。もしかすると15万円近くになるかもしれない。

与党の思惑は成功するか

こうした条件を元に考えると、ビールメーカーは、麦芽を使わない第3のビールなどを開発するのを止めるだろう。

いくらか安くなったビールに目を向ける……人は、ごくわすかで、多くの消費者はチューハイなどに乗り換えるのではないだろうか。そしてビール全体の消費が減っていく……。

こうなると与党の思惑に反して、ビール全体の税収が落ち込むだろう。その次はリキュールの増税が来そうだ。

もっとも酒全体の消費が落ち込みつつある現在、アルコール離れが進めば、国民の健康状態は改善しそうだ。そこまで考えてのことなら大したものだが。

財務省「酒税の税率」

国税庁「酒のしおり(平成26年3月)」

【参考記事】
また増税?発泡酒と第3のビールの税率アップ検討(7月15日)

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