業績大幅悪化のワタミ、あえて光明を探してみると……

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和民

flickr_周小樹

赤字額の大幅増加

居酒屋チェーンなどを運営する「ワタミ」が、上半期の決算説明会を行うと共に、改善案を発表した。

ワタミの2014年度上半期決算は、売上高約777億円(前期は約807億円、以下同じ)、営業損失約10億円(約24億円の黒字)、経常損失約17億円(約18億円の黒字)、当期損失約41億円(約5億円の黒字)となった。

店舗の閉鎖などに伴い約2億円の赤字は予想していたものの、さらに赤字額が増加している。ちなみに中間期の赤字は、上場以来初の出来事だ。

全業態での不振

以前の記事でも書いたが、同社の事業内容は、外食、介護、宅食の3つに分かれている。

前期までは外食事業がやや不振な分を、介護と宅食の伸びで補ってきたものの、この上半期は介護と宅食でも伸び悩んだ。

3棟増やして105棟となった介護事業は、売上高約177億円(前期は約176億円、以下同じ)と、かろうじて前期を上回ったものの、入居率が82.7%(87.2%)に下がったことなどから、営業利益が約15億円(約21億円)に減少した。

当初は40万食超を目標にしていた宅食事業も、このところ26万食前後と伸びや悩んでいることから、売上高は201億円(前期は214億円、以下同じ)、営業利益は約10億円(約17億円)と、どちらも減少している。

また再生可能エネルギー事業への投資などでキャッシュフロー(余裕資金)が減少、有利子負債(利払いの必要な借入金など)が増加傾向と、財務内容も良くない。

改善案を見てみよう

このまま進めば間違いなく真っ逆さまに転落していくが、同社もそれは分かっており、資料では改善案を示している。

外食事業は「メニュー単価の見直し」「店舗当たり社員数増」「業態変更」、介護事業は「ニーズに合わせた介護内容」「特徴のあるホーム運営」「新たな業態展開」、宅食事業は「効率アップ」「多様な新規顧客の獲得」「既存顧客の囲い込み」を挙げている。

光明を探してみると

見た限りで評価できそうなのは外食事業だ。

今春のメニュー見直しにより、客単価はアップしたものの、客数が伸び悩み、顧客満足度も上がっていない。そこでドリンクや食べ物の値段を下げることにより、値頃感を前面に出すとある。

ただし「安かろう悪かろう」になっては無意味な上、さらに客離れに拍車をかける。サービス悪化を招かないためにも、店舗当たり社員数の維持には気を付けるべきだ。

また日本フードサービス協会の発表では、居酒屋業態の伸び悩みが目立っている。「ワタミ」の名前隠しと言われようとも、「和民」「坐・和民」などから、「TGI FRIDAYS」「炭旬」などへの転換が進めば、業績の改善も望めそうだ。

首を傾げたくなる点も

一方で、介護事業や宅食事業では「大丈夫だろうか」と思わせる点が目立つ。と言うのは、どちらもスタッフに対する改善案が見られなかったからだ。

ワタミの人手不足問題は外食事業で目立っているものの、介護事業でも充足しているとは言い難い。今後も新規出棟を進めると同時に、新たなサービスに注力するのであれば、人材が重要になるはずだ。

また宅食スタッフ(通称、まごころさん)の増加を目指したものの、応募数が伸び悩んだことについて、どう理解しているのだろうか。取り組み施策の1つに「まごころスタッフの定着によるお客様との信頼関係構築のフォロー実施」を挙げているが、外食事業における店舗閉鎖のような具体策を知りたいところだ。

無名より悪名

「ワタミ」の名前がブラック企業の代名詞にもなってしまった感もあり、インターネットには「潰れろ」のような書き込みもある。

しかしこれだけ悪名が広まったのであれば、逆用することも可能なはず。「普段、行いの良い人が良いことをしても評価されにくいが、行いの悪い人が良いことをすると評価されやすい」のように言われることがある。

また「ジャイアン映画版現象」もある。漫画やアニメの「ドラえもん」で、普段はいじめっ子のジャイアンが、映画になると良い行動をして目立つことから生まれた言葉だ。

ここまで悪名の高くなったワタミでは、多少の改善で見直されることは少なそうだが、それでも「あのワタミが変わったなぁ」と感じる人もいるだろう。

そうしてワタミファンを増やしていけば業績が改善する……かもしれない。それまでにワタミの財務内容が耐えられればの話だが。

とりあえずは過労死訴訟について、事実を認め謝罪してはどうだろうか。

ワタミ「2014年度(第29期)上期決算説明会資料」

【参考記事】
ワタミが業績見通しを下方修正、外食・介護・宅食の全事業が悪化(10月8日)

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