札幌オリンピック招致賛成が66.7%って本当?アンケート結果を良く見ると

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今月中にも正式表明

札幌市が2026年冬季オリンピック・パラリンピック招致に関する市民アンケートの結果を発表した。

これによると、「賛成」「どちらかといえば賛成」が合わせて66.7%の一方、「反対」「どちらかといえば反対」はの反対派は21.6%だった。

アンケート結果を踏まえて、上田文雄札幌市長は、今月中にも正式に立候補を表明すると見られている。

回収率は47.8%

これだけ見れば順当な流れに思えるのだが、アンケート結果の詳細を見ると、かなり強引な手法ではないかとの疑念が湧く。

アンケートは札幌市内に住む18歳以上の男女1万人を対象に郵送で行っている。答えが回収されたのは4775人。つまり2人に1人しか答えていない。

「札幌市が冬季オリンピック・パラリンピックを招致することを、あなたはどう思いますか」に対しては、上記以外に「分からない」が10.5%、「無回答」が2.3%だった。

回収されなかった人はどう考えているのだろうか。「回収されない」を無回答に加えれば、「無回答」は約54%となり、賛成は約33%に減る。

もちろん回収されない人の中にも賛成の人はいるはずなので、この仮定も強引だ。しかし発表では、別の意見募集の結果を公表している。

意見募集の結果では

郵送アンケートとほぼ時期を同じくして、シンポジウム(10月6日開催)でのアンケート募集や、ホームページ、メールなどでも意見募集を行っていた。

809件の回収結果に対して、「賛成」41.5%、「どちらかといえば賛成」17.1%、「どちらかといえば反対」5.3%、「反対」31.9%、「分からない」3.1%、「無回答」1.1%だった。

先のアンケートをと比較して、賛成派が58.6%と減ったのに対し、反対派が37.2%と増えている。ここで気になるのはアンケートの流れだ。

アンケートの設問に問題はないか

郵送アンケートでは
「あなたは、1972年に札幌で冬季オリンピックが開催されたことを知っていましたか」
「あなたは、夏と冬それぞれ4年に1度、開催されるオリンピック・パラリンピックを楽しみにしていますか」
「今年2~3月に開催されたソチオリンピック・パラリンピックは観戦しましたか」
「冬季オリンピック・パラリンピックについて、あなたはどのようなことがらを思い浮かべますか」
「札幌市で冬季オリンピック・パラリンピックが開催されるとしたら、あなたはどんなことに関心がありますか」の後に、
「札幌市が冬季オリンピック・パラリンピックを招致することを、あなたはどう思いますか」の問いが来る。

意見募集では
「札幌市で冬季オリンピック・パラリンピックが開催されるとしたら、あなたはどんなことに関心がありますか」の後に、
「札幌市が冬季オリンピック……」の問いが来る。

こうした設問配置に、意図的な誘導を感じるのは私だけだろうか。

東京の招致活動には

東京都の年間予算は約7兆円、特別会計も含めると約13兆円にもなる。日本でも数少ない黒字の自治体だ。

東京都は、2016年の招致活動に約149億円、2020年の招致活動には約89億円をかけてオリンピックを引っ張ってきた。また開催に向けて約4000億円を積み立てているそうだ。

その東京でも、オリンピック後の施設活用をめぐって、会場選定に混乱が起きているのは、ニュースなどで見聞きした人も多いだろう。

札幌市の年間予算は約8000億円、特別会計などを合わせると約1兆5000億円。しかも歳入には地方交付税なども含まれており、ほとんどの自治体がそうであるように、赤字の財政だ。

ソチオリンピックの総費用や約5兆円だったことや、6都市が立候補した2022年の招致活動に、中国の北京とカザフスタンのアルマトイしか残っていないことを知っている人はどのくらいいるだろうか。

設問を変えてみると

例えば「今年2~3月に開催されたソチオリンピック・パラリンピックは観戦しましたか」までは、そのままでも良いだろう。

その次に「ソチオリンピックに約5兆円の費用がかかったことを知っていますか」
「2022年の冬季オリンピックの招致活動に6都市が立候補していましたが、4都市が取りやめたことを知っていますか」
「東京都は2回の招致活動に約240億円使ったのを知っていますか」
そして「札幌市が冬季オリンピック……」の設問だったら、賛成や反対の割合はどうなっただろうか。

財政の不安を訴える意見が多数

意見募集のアンケートでは、具体的な意見も寄せられている。

賛成の人の意見でも、「開催費用や維持費などの財政面が不安」が33件で最も多く、次いで「スポーツ施設の整備や後利用」が30件だ。好意的な意見として「世界に対する札幌のPRになる」が30件、「雇用創出や経済効果が期待できる」が27件、「子どもたちに夢と希望を与える」が24件だった。

反対の人の意見に至っては、「開催費用や維持費などの財政面が不安」が136件、「福祉や教育など他の施策に使うべき」が92件、「スポーツ施設の整備や後利用」が38件、「経済効果は期待できない」が36件、「環境問題」が21件だ。

8~11月に行った「ふらっとホーム」(市長と市民の意見交換の場)でも67人から意見が寄せられており、賛否入り混じっている。

上田市長や関係者は、もう一度冷静な判断に立ち返った方が良いのではないだろうか。

札幌市「市民アンケートや意見募集等の結果」

【参考記事】
2022年冬季五輪招致からオスロが撤退、残るは中国・北京とカザフスタン・アルマトイ(10月3日)

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