青森県の司法解剖医師がゼロに、執刀医の待遇の悪さも一因に

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4月以降ゼロに

東奥日報の報道によると、青森県内で司法解剖を担当する医師がゼロになる見通しであることが分かった。

青森県内では、弘前大学の阪本奈美子准教授が唯一の司法解剖医だったが、3月末で東京都の杏林大学に転任するため、後任を募っているものの応募が無い状況とのこと。

受け入れを中止したことも

青森県内で司法解剖を担当する執刀医は、長年、弘前大学の黒田直人教授(当時)が担当、年間100件前後の司法解剖を行ってきた。

ただし負担増などもあり、2009年11月から翌2010年3月まで司法解剖の受け入れを中止したこともある。その際、青森県警では岩手医科大学や秋田大学などに司法解剖を委託していた。

2011年2月に阪本准教授の採用が決定、同年4月から着任したことで、黒田教授との2人体制となり、年間200件前後の司法解剖を行ってきた。しかし2014年6月で黒田教授が福島県立医科大学に転出したことにより、再び阪本准教授の1人体制となっていた。

医師不足の現状

警察庁の資料によると、2012年における死体取り扱い総数は17万3833体で、その内、検死官が臨場したのは8万6335体(49.7%)、解剖されたのは1万9218体(11.1%)だ。

過去の推移を見ると、2003年は死体取り扱い総数13万3922体に対して、検死官が臨場したのは1万6054体(12.0%)、解剖されたのは1万1974体(8.9%)、2008年は16万1838体、2万2780体(14.1%)、1万5716体(9.7%)、2010年は17万1025体、4万7522体(27.8%)、1万9083体(11.2%)となっている。

以前の記事でも書いたように、検死官が臨場する割合こそ高くなっているものの、解剖する割合は伸びていない。

2011年の段階で、警察庁は5年を目途として検死官の臨場率を50%に、解剖率を20%にする目標を掲げている。検死官の臨場率は達成できそうだが、解剖率は難しそうだ。

根本的に医師不足の状況がある上に、司法解剖を担当する医師の待遇が必ずしも良くないことが原因だ。警察庁などでも解剖医増員のため、人材育成や確保を目指しているが、上手く行っていないのは今回の記事を見ても明らかだろう。

犯罪を見逃さないようにするためにも、解剖医の増強は不可欠に違いない。テレビ朝日のドラマ「ゼロの真実~監察医・松本真央~」で注目は集まっても、待遇が悪いままでは難しそうだ。

【参考記事】
1年間に1万体以上、大阪府警が全ての変死体に薬物検査を決定(2月5日)

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