吉野家にトライに東映アニメ、消費税転嫁対策の勧告を振り返る

2015年02月15日 22時40分

2015年02月15日 23時58分

公正取引委員会
県田勢

建設業と買いたたきが圧倒的

経済産業省が消費税の転嫁対策への取り組み状況を公表している。

これによると、今年1月までに調査に着手したものが3791件、立ち入り検査を行ったものが2030件だった。また指導に至ったものが1550件、勧告が14件、措置請求が3件となっている。

指導を受けた業種では、538件の建設業がとび抜けており、次いで小売業(156件)、運輸業(155件)、その他(医療、福祉、旅行、派遣など、148件)、卸売業(145件)、情報通信業(139件)などとなっている。

また指導における違反行為(1つの案件で複数の違反行為あり)は、買いたたきが1245件と圧倒的で、本体価格での交渉の拒否が241件、役務利用・利益提供の要請が66件、減額が31件だ。

家賃据え置きが4社

資料では14件の勧告の概要が掲載されている。いくつかにまとめて紹介しよう。

irorioでも取り上げたが、牛丼チェーンの吉野家やメガネチェーンの三城で、家賃が問題になったことを覚えている人もいるだろう。

勧告の中では、「吉野家グループ」の3社(吉野家資産管理サービス、北日本吉野家、中日本吉野家)と「三城」を合わせた事案を4社としてカウントしている。今回の消費税アップでは、仮に両者の間で合意があったとしても、消費税のアップ分を差し引くことは許されていない。その辺りへの認識の甘さが浮かび上がった格好だ。

個人事業主が苦境に

また「東映アニメーション」が勧告を受けた時も話題になったように、個人事業者に絡んだ事案も多い。東映アニメの他には、全国でスポーツクラブなどを運営する「ルネサンス」、家庭教師を派遣する「トライグループ」、こちらも都心を中心にスポ-ツクラブを運営する「住友不動産エスフォルタ」の4社だ。

業種こそ違うものの、いずれもスポーツ指導を行ったり、家庭教師を行ったり、原画や動画を製作したりしている人を個人事業者として、業務を委託する形式をとっている。これらに対して消費税アップ分を上乗せしなかったため勧告を受けている。

委託手数料を

似た格好なのが、「東京都自転車商防犯協力会」と「兵庫県自転車防犯登録会」だ。こちらは自転車の防犯登録業務を地域の自転車販売店などに委託しているが、委託手数料を据え置いたり(東京都)、引き下げたり(兵庫県)して勧告を受けている。

また「産業機械健康保険組合」では、健康診断などを委託している病院に対して、委託手数料を据え置いたことで勧告を受けている。

納入業者に

取引のある納入業者に対して買いたたきで勧告を受けたのが、駅構内で売店などを運営する「JR東日本ステーションリテイリング」と「山形市立病院済生館」だ。

後者は名前で分かるように山形市の病院だ。まさか経済産業省や中小企業庁も、自治体に対して勧告を行うとは思っていなかったのではないだろうか。

もう1社は、パチンコやパチスロ機を製造・販売する山佐のグループ会社である「山佐産業」だ。こちらは機器の販売代理店に対して支払う委託手数料を据え置いて勧告を受けている。

指導事例も

資料には1550件の指導の内、5件の指導事例を紹介している。出版業、建設業、娯楽業、畜産サービス業、学校教育業と、業種こそ様々だが、下請けや納入業者に対して、増税分を据え置いたことで指導に至ったようだ。

こうして表に出た事例は、全体の一部に過ぎないに違いない。今後も尽力に期待したい。

経済産業省「平成27年1月末までの消費税転嫁対策の取組状況を公表します」

【参考記事】
なくならない下請けいじめ、中小企業庁発表からせこい実例を紹介(2014年7月7日)

増税分の家賃が未払いだった吉野家に公正取引委員会から勧告(2014年9月24日)

下請け買いたたきで勧告を受けた東映アニメ「内税だったので」と苦しい言い訳(2014年12月17日)

買いたたき勧告の「家庭教師のトライ」ホームページでこっそり発表(2014年12月19日)

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