一宮市教育委員会が「断定的」と校長に注意、「民のかまど」などブログは削除に

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仁徳天皇「民のかまど」

「民のかまど」の話を知っている人は、どのくらいいるだろうか。

人家のかまどから煙の上がっていない様子を見た仁徳天皇は、3年間の租税を免除した。3年後、税収の無かった宮中は荒れたものの、人々のかまどからは煙が立ち上る(十分に食べることができる)ようになった、とする話だ。

これは日本書紀に記されているもので、この後、仁徳天皇はさらに3年間租税を免除して、これに感謝した人々が宮中の修繕に乗り出している。この出来事が実際にあったことかどうかは不明だが、長く伝えられているものだ。

発端は中日新聞とツイッター

中日新聞の報道によると、この話などを元に、日本ならではの民主主義や国民性や天皇制についてブログに書いた校長が、口頭で処分を受けたそうだ。

記事によると、建国記念日(2月11日)を控えた9日、愛知県一宮市立奥中学校の朝礼で、岩原豊起校長が日本の伝統や国民性の素晴らしさ語り、これまで同様に、朝礼の内容を同校のブログにアップした。これに対して一宮市の教育委員会は12日、岩原校長に対し口頭で注意を行い、岩原校長はブログを削除したとのこと。

記事では、岩原校長の「子どもたちに、和の心を大切にしてほしいという思いを伝えたかった」、一宮市学校教育課担当者の「断定的な書き方で、個人の考え方を押しつけかねないと判断した。慎重さを持つように指導した」とのコメントを掲載している。また一宮市教職員組合が18日、教育長宛ての抗議文を提出する予定ともある。

記事を見たネットユーザーが18日、「愛知県、一宮市って極左なんですね。私は素晴らしい校長先生だと思う」とのツイートとともに、中日新聞の記事をアップしたことで、情報が広まりつつある。

問題部分は?

問題は「民のかまど」の紹介の仕方や、岩原校長の考え方らしい。当該ブログ記事は削除されているが、ネットでは復活させたものを見ることが可能。全文を転載するのもどうかと思うので、読んでみたいと思う人は検索して欲しい。

その中から「ここを問題と見たのかな」と思われた部分を抜粋してみよう。まず民のかまどの話をした後に、こう続いている。

この話は神話であり、作り話であるという説もあります。しかし、こうした神話こそが、その国の国柄を示しているとも言えるのです。こうした天皇と国民の関係性は、何も仁徳天皇に限ったことではありません。

そして昭和天皇がマッカーサー元帥の元に赴いて会見されたことについて語り、以下につなげている。

このように、初代、神武天皇以来2675年に渡り、我が国は日本型の民主主義が穏やかに定着した世界で類を見ない国家です。
日本は先の太平洋戦争で、建国以来初めて負けました。しかし、だからといってアメリカから初めて民主主義を与えられたわけではありません。
また、革命で日本人同士が殺しあって民主主義をつくったわけでもありません。古代の昔から、日本という国は、天皇陛下と民が心を一つにして暮らしてきた穏やかな民主主義精神に富んだ国家であったのです。

この考え方が正しいかと言えば、必ずしもそうではない。

1000年以上にも長きに渡る天皇制も、様々なもめ事が起きていたのは間違いない。NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」では、ちょうど江戸時代の末期を扱っている。その時期にも血で血を洗うような内乱があったのは事実だ。

ただ一宮市学校教育課担当者の言うように「断定的」「個人の考え方を押しつけかねない」と判断するのはどうなのだろうか。締めの文章は次の通りだ。

私たちは日本や日本人のことを決して卑下する必要はありません。皆さんは、世界一長い歴史とすばらしい伝統を持つこの国に誇りを持ち、世界や世界の人々に貢献できるよう、一生懸命勉強に励んで欲しいと思います。

全体を通して読めば、問題視すること自体が問題のようにも思える。皆さんはどうだろうか。

校長先生は歴史好き?

ブログでは他の校長講話を読むこともできる。昨年10月20日のパスポートから世界情勢へと展開する話は、読みごたえがあった。また「歴史好きかな?」と塚原卜伝や西郷隆盛が出てくる講和もある。時間のある人は、読んでみてはどうだろうか。

一宮市立奥中学校ブログ「校長室から」

続報がありますので、ぜひこちらもご覧ください。

【続報】「民のかまど」ブログ削除問題、中日新聞の報道姿勢に問題か(2月21日)

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