薬剤師国家試験の合格率、出願者数を元に計算し直すと面白い傾向を発見

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合格率は改善

厚生労働省が第100回薬剤師国家試験の合格者を発表した。

制度移行期を除き、過去最低だった前回(60.8%)から、合格率は63.17%と改善傾向にあるものの、依然として低い割合に留まっている。

学校別の合格率

学校別の合格率が高い学校や低い学校は次の通り。

【高い学校】
広島大学:86.79%(出願者数:55人、受験者数:53人、合格者数:46人)
金沢大学:86.67%(47人、45人、39人)
明治薬科大学:85.67%(408人、363人、311人)
名城大学:84.12%(303人、277人、233人)
東邦大学:83.28%(319人、299人、249人)

【低い学校】
第一薬科大学:23.47%(357人、294人、69人)
帝京平成大学:33.05%(451人、351人、116人)
日本薬科大学:37.82%(458人、312人、118人)
奥羽大学:38.52%(176人、135人、52人)
青森大学:39.02%(116人、82人、32人)

注意する必要があるのは、「合格率」は「受験者数」における「合格者数」であることだ。よく言われているのは、合格率をアップさせるために出願しても受験させない学校があること。

その対策なのか、厚生労働省は、今回、出願者数を発表した。これを見ると、出願者数と受験者数の差に大きい学校と小さい学校のあることが分かる。

例えば合格率が上位の学校でも、広島大学や金沢大学は出願者数と受験者数の差が小さいので、出願者数を分母にしても合格率が大きく下がることはない。

一方、3~5位の明治薬科大学、名城大学、東邦大学は、出願者数を分母にすると、それぞれ76.23%、76.90%、78.06%となり、東邦大学、名城大学、明治薬科大学と順位が逆転する。

また合格率の低い学校でも、出願者数を基準にすると、より低くなることが明らかだ。

出願者数を基準に算出

出願者数を分母にして合格率を算出すると、高い学校や低い学校は次の通り。

【高い学校】
広島大学:83.64%(出願者数:55人、受験者数:53人、合格者数:46人)
金沢大学:82.98%(47人、45人、39人)
徳島大学:79.36%(63人、61人、50人)
東邦大学:78.06%(319人、299人、249人)
岡山大学:76.92%(52人、52人、40人)

【低い学校】
第一薬科大学:19.33%(357人、294人、69人)
帝京平成大学:25.72%(451人、351人、116人)
日本薬科大学:25.76%(458人、312人、118人)
青森大学:27.59%(116人、82人、32人)
横浜薬科大学:28.75%(473人、303人、136人)

どちらも順位に変動があったのが分かるだろう。

概ね国立や公立は、出願者数と受験者数に大きな差はない。新たに合格率が高い学校に入った岡山大学の他には、大阪大学と九州大学は、出願者数と受験者数の差がゼロだ。

反面、私立は出願者数と受験者数の差が大きい傾向にある。

出願者数と受験者数の差

そこで私立の学校を対象に、出願者数と受験者数の差が小さな学校と大きな学校を探してみよう。

【小さな学校】
立命館大学:1人(出願者数:123人、受験者数:122人、合格者数:97人、受験者数における合格率:79.51、出願者数における合格率:78.86%)
安田女子大学:6人(106人、100人、46人、46.00%、43.40%)
北里大学:10人(337人、327人、252人、77.06%、74.78%)
高崎健康福祉大学:10人(139人、129人、80人、62.02%、57.55%)
東京理科大学:10人(137人、127人、95人、74.80%、69.34%)

【大きな学校】
横浜薬科大学:170人(473人、303人、136人、44.88%、28.75%)
日本薬科大学:146人(458人、312人、118人、37.82%、25.76%)
帝京平成大学:100人(451人、351人、116人、33.05%、25.72%)
徳島文理大学:69人(473人、404人、181人、44.80%、38.26%)
日本大学:67人(346人、279人、179人、64.16%、51.73%)

もちろん試験当日に急病になったり事故にあったりして、受験を断念した人もいるだろう。1人の立命館大学は「そんな人かな」と思わせられる。

しかし100人以上の人間が急病や事故になるだろうか。さすがに合格率アップを目指した数字を作りに行っていると思われても仕方ないだろう。

合格率の低い学校はもちろんだが、合格率が全体より高い学校でも、出願者数を分母にするとガクンと低くなるところもある。その一例が出願者数と受験者数の差で大きな学校の5位となった日本大学だ。

日本大学は受験者数を元にした合格率(64.16%)では、全体の63.17%をわずかに上回っているが、出願者数を分母に合格率を計算すると51.73%となり、総数(出願者数:1万6546人、受験者数:1万4316人、合格者数:9044人)で出願者数を元に計算した合格率の54.66%を下回る。

横浜薬科大学や日本薬科大学でも、出願者数を元に算出すると、合格率が10%以上も低くなる。こうしたことがあるのでは「合格率をアップさせに行っている」と受け取られても仕方がない。

来年以降の合格率がどうなるのか楽しみだ。出願自体を控えることになるのだろうか。

厚生労働省「第100回薬剤師国家試験の合格発表を行いました」

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