中国子会社の焦げ付きが原因、東証1部上場、福井県の江守グループが民事再生申請

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中国子会社の売上回収遅延

福井県に本社を置く江守グループホールディングスが、民事再生法の適用を申請したことが分かった。

同社の発表によると、中国における売上の回収遅延が発生したことから債務超過となり、2015年3月期決算においても、連結ベースだけでなく個別ベースでも大幅な債務超過になることが確実となったとある。

そこでスポンサーを募った後、今回の決定に至ったとのこと。

薬種商から化学製品に

1906(明治39)年に薬種商として始まった同社は、昭和に入って化学製品や電子材料などに業務を展開した。

海外には、1983年に香港に進出したのを皮切りに、中国(1995年)、タイ(1997年)、インドネシア(2001年)、アメリカ(2004年)、ドイツ(2010年)などに子会社や支店を開設してきた。

1994年、株式を店頭公開すると、2005年には東証2部に、2006年には東証1部に指定替えを行っている。

決算報告の遅延

子会社の業績に陰りが見えたのは、今年2月のこと。

中国子会社において、売掛債権の回収可能性や取引の妥当性に疑義が生じたことから、2015年3月期の第3四半期の決算報告が遅れる事態となった。

ここで約462億円の特別損失を計上するとともに、約234億円の債務超過に至ったため、金融機関や取引先企業との交渉が行われていたものの、行き詰まりを見せたことで民事再生を選んだらしい。

2014年に中国子会社の役員交代

同社の過去の発表で気になるのは、2014年11月の「取締役の役職の変更、及び中国4子会社の代表者の異動に関するお知らせ」だ。

それまで中国の4つの子会社で董事長や総経理などを担当していた謝飛紅(しゃ ひこう)氏が、いずれも董事に、つまり降格となり、同社代表取締役の江守清隆社長らが董事長になっている。

それに先駆けて10月時点で中国子会社の回収遅延を理由に、約8億円を貸倒引当金として繰り入れているが、この時点で中国子会社が相当危なかったと推測できる。

ちなみに同社の株価は、2014年10月20日の終値で1755円だったが、翌21日から急落し、24日終値では1083円になった。それ以後は1000円前後で動いていたものの、今年3月に再び急落し、最近は500円前後で推移していた。

役に立たなかった保険

もう1つ今回の発表で気になるところがある。

「スポンサーの選定及び申立ての経緯・理由」の「取引信用保険についても保険金の支払を受けることができない可能性が存することが明らかとなった」の部分だ。

取引先の倒産など売掛金が回収できない場合に備えて、保険をかけておく企業は多い。

しかし同社は、どのような理由で「保険金の支払を受けることができない」となったのだろうか。同社のような出来事が、中国に進出している他社で起こる可能性もありそうだ。

ここ数年、中国から撤退する企業のニュースがいくつも流れている。底なしとも言える中国リスクから逃げられないと、江守グループホールディングスのようになるのかもしれない。

蛇足気味ながら書き加えておくと、AIIBの参加を求めている人は、こうしたチャイナリスクを、どの程度認識しているのだろうか。

江守グループホールディングス

江守グループホールディングス「取締役の役職の変更、及び中国4子会社の代表者の異動に関するお知らせ」

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