2日後に迫った大阪都構想の住民投票、各紙世論調査の数字を考える

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グラフ

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大阪都構想の住民投票まで残り2日

いよいよ2日後に迫った大阪都構想の住民投票。

ここ数日で期日前投票が増加したとの報道もあるが、支持団体やメディアの見方も分かれており、まさに開けてみないと分からない状況のようだ。

4月に行われた統一地方選挙と同様に、今回の大阪都構想でも各メディアによって世論調査が行われている。

共同で世論調査をしたことが明らかに

先日、「大阪都構想のメディア世論調査、産経、毎日、共同の数字が同じでした」を書いたが、改めて各メディアの報道内容を見比べてみた。

読売新聞は独自に、朝日新聞は朝日放送と共同で世論調査を行っているが、毎日新聞、産経新聞などは数字が共通だったため、念のため新聞紙面を精査してみた。

しかしサイトにアップした記事と同様に、共同で行った調査とは書いていなかった。各紙(共同通信は東京新聞から)の表現は次の通り。

産経新聞:産経新聞社は9、10日両日、大阪市内の有権者を対象に電話による世論調査を実施した。
毎日新聞:毎日新聞は9、10日、大阪市内の有権者を対象に電話による3回目の世論調査を実施した。
東京新聞:共同通信社が大阪市の有権者を対象に九、十両日実施した電話世論調査によると(後略)。

強いて違いを挙げると「両日」が入っているかいないかだ。これを読んで、各社が独自に世論調査を行ったように受け取る人がいても不思議はないだろう。

ただ過去の記事も探したところ、ようやく一部に共同で行った調査であるとの内容を見つけることができた。すると今回の世論調査でも、刷版が異なるものや地方版に、共同で調査を行った旨の表現があったのかもしれない。

3月は共同通信、毎日新聞、産経新聞の3社による調査で、4月は、そこに毎日放送なども加わって世論調査を行ったとのこと。

5月は4月と同じらしく、こうして集められた同じデータを元に、各社が独自の分析や判断を加えて記事にしたようだ。そうであれば、やはり全ての記事に共同で世論調査を行ったことを書くべきだろう。何か見栄でもあるのだろうか。

5紙を比べてみる

共同通信は東京新聞に配信しているので、東京新聞と全国紙4紙の見出しを並べてみる。

読売新聞:「大阪都」反対上回る…橋下氏支持・不支持並ぶ
朝日新聞:都構想、反対が上回る 賛否答えず24% 大阪市民調査
毎日新聞:大阪都構想:反対47%、賛成39% 毎日新聞調査
産経新聞:反対47・8%、賛成39・5%を上回るも、賛否差は前回より縮小 本紙世論調査
東京新聞:大阪都構想 住民投票まで1週間 「賛成」39%に増 「反対」47%と差縮まる

こうしたものに多数決を取り入れるのは合わないが、毎日、産経、東京(共同)の数字が似ていることで、何となく信頼性が増すように感じる人もいるだろう。

さらに毎日と東京は小数点以下の数字を切り捨てたことで、産経と微妙な違いを生み出している。賛成反対の数字が全く一緒では、どこかまずいと思ったのだろうか。

読者をミスリードしないためにも、データの取得方法などは、極力明らかにして欲しい。

朝日新聞の立場

朝日新聞と読売新聞の見出しに、「賛成、反対はいくつなの?」と疑問に感じる人もいるはずだ。

まず朝日新聞だが、賛成が33%、反対が43%、その他・答えないが24%だった。毎日新聞などと比べると、賛成、反対ともに少なく、その他が多い。

毎日、産経、東京(共同)との違いを見て、「朝日新聞は角度を付けたアンケートをしてるんじゃないの」と穿った感想を持つ人が出てくるかもしれないが、紙面に掲載していた質問項目を見た限り、特に角度を付けたような内容には感じられなかった。

反対が多いとしながらも、「賛否答えず24%」を見出しに持ってきたことで、朝日は結果の不透明さを打ち出したのではないだろうか。

読売新聞の立場

さらに難しいのが読売新聞だ。見出しでも賛成と反対の全体的な数字は出しておらず、文中でも「都構想の賛否は、4月上旬の前回調査では拮抗していたが、今回は反対が賛成を上回った」とあるだけで、数字は不明だ。

はっきりした数字は、区割り案について(賛成34%、反対50%)と、橋下市長の支持率(支持と不支持がともに47%)くらいで、大阪都構想については、政党別の賛成と反対をグラフにしたものを掲載しているのみ。

大阪都構想世論調査

読売新聞

なぜこうした記事になったのか。

推測になるが、読売新聞は安倍政権に最も近い立場にあるとされている。

安倍政権の考え方は、大阪都構想はどうあれ、憲法改正を目指すために、維新の党との協力体制を必要としている。自民党の大阪府連が大阪都構想に反対しているのに対し、菅官房長官が「全く理解できない」との発言したのも、その表れとする見方がある。

そうした安倍政権の意図を汲んで、大阪都構想に反対が優勢であることは、あまり表に出したくないため、こうした表現になったのではないだろうか。

同じデータを元にしても、毎日新聞は反対が多いことを見出しにしただけだが、産経新聞と東京新聞は反対と賛成の差が縮んでいることを打ち出している。この辺りに、独自の立場がありそうだ。

こうした見方は、あくまでも推測にすぎないが、単に数字を追うだけでなく、各メディアの考え方や立場を考慮した上で、記事の表現を読んでいくと、新聞紙面がさらに面白くなりそうだ。

【参考記事】
大阪都構想のメディア世論調査、産経、毎日、共同の数字が同じでした(5月11日)

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