結構あちこちで行われている地名変更、増えつつあるひらがな地名とカタカナ地名

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年間数百件の地名変更

香川県の愛称「うどん県」や、滋賀県の県名を近江県にするなど、地名に関する話題をチラホラ見聞きする。

ただ実際の地名を変更するには、手続きの他に、相当な費用も必要になることから、簡単には行かないようだ。

しかし毎年、数百件の地名変更が行われているのを知っている人は、どのくらいいるだろうか。その多くは区画整理によるものだ。

国土地理協会

全国の地名や地域のデータを調査する公益法人国土地理協会のホームページでは、「最新地名変更情報」として、その月に地名変更が行われた情報を発表している。

執筆時点では、2015年5月の情報として、「北海道千歳市北陽(ほくよう)5~8丁目」から「大分県豊後高田市城台(じょうだい)」まで、6件の地名変更が行われていることが分かる。

今年分では、1月は28件、2月は10件、3月は7件、4月は4件で、合計55件の地名変更が行われていた。

1月が多いのはたまたまで、過去数年分を見ると、秋(9~11月)と2月に多かった。地方議会の運営を考えれば、余裕のある秋と年度替わり前の2月に多いのは当然かもしれない。

ただしこうした地名変更で多いのは、町名や○丁目などだ。その上の区や市は、ほとんど見当たらない。区や市と比較して町名の変更は、住人の数が少なめなことから、同意が得られやすい面があるのだろう。

増えるひらがな地名とカタカナ地名

ちょっと戻って、5月の変更に「埼玉県三郷市ピアラシティ(ぴあらしてぃ)1・2丁目」を見たとき、「?」と思った。

さかのぼって見ていくと、次のような地名変更がある。

2015年3月「岐阜県美濃加茂市あじさいヶ丘(あじさいがおか)1~3丁目」
2015年1月「埼玉県三郷市インター南(いんた−みなみ)1・2丁目」
2014年11月「埼玉県越谷市レイクタウン(れいくたうん)1~9丁目」
2014年2月「山形県上山市みはらしの丘(みはらしのおか)」
2013年11月「愛媛県今治市クリエイティブヒルズ(くりえいてぃぶひるず)」
2012年8月「千葉県佐倉市西ユーカリが丘(にしゆ−かりがおか)6・7丁目」

住民でもない身で、どうこう言うのも余計なことかもしれない。その地域に住んでいる人達が、一生懸命に考えたのだろう。それでも「本当にそれで良いの?」の思いは消えなかった。

挙げた中で、いくらか納得できるのは「埼玉県三郷市インター南(いんた−みなみ)1・2丁目」だろうか。ランドマークを地名に取り込むのは、よくあることだ。

2014年6月には「茨城県つくば市学園の森(がくえんのもり)1~3丁目」「茨城県つくば市研究学園(けんきゅうがくえん)1~7丁目」などの地名変更がなされている。して見ると、カタカナ地名に違和感を覚えるのかもしれない。

また「岐阜県美濃加茂市あじさいヶ丘」は美濃加茂市の花があじさいであることが由来らしい。それでも「山形県上山市みはらしの丘」とともに、「もうちょっと何かなかったのかな」と思ってしまう。

ちなみに「愛媛県今治市クリエイティブヒルズ」は事業用の土地とのこと。名刺の住所に「クリエイティブヒルズ」とあれば、ネタにはなりそうだ。

妥協の産物

いろいろ見ていくと、埼玉県三郷市議会の広報「みさと市議会だより」を見つけた。その2008年8月15日号には、「新三郷ららシティ」の地名変更における質疑を掲載している。概略は次の通り。

質問:名称変更の経緯は?
回答:地権者の商業系グループから「ららシティ」、物流系グループと市から「新三郷」が出たので合わせた。

質問:由緒ある名称は残さないのか?
回答:町名の一部が「新三郷ららシティ」になるだけで、由緒ある名称は残っている。

質問:長いのではないか?
回答:多少長いが斬新性と地権者の合意を得ている。

質問:長い名前は好ましくないとの総務省の例示がある。国、県に打診はしたか?
回答:打診はしていない。自治体に自由度が認められている。

質問:名称の変更請求の条件は?
回答:50人以上の署名捺印で請求できる

質問:武蔵野操車場跡地は住民がいないので署名を集めるのは不可能だ
回答:住居表示に関する法律によるものである(ので問題ない)

つまり町名などは、その自治体がかなり自由に決められるようだ。また元々空地や農地だった場所の地名変更を行う際には、進出した企業の意向も無視できないようだ。

記事の最後に次の文章がある。

委員会の討論では、この名称は、長すぎて簡明さもない。また、名称決定までのプロセスに市民が関与していないことも問題。などがありました。
最終結論を出す本会議では、常任委員長が委員会の審査内容を報告し、採決の結果、賛成多数で可決されました。

こうしたカタカナの地名だけでなく、「さいたま市」のようなひらがなの地名や、由来の不確かな地名などが、やり玉に上がることがある。

万人が納得する地名は難しいかもしれないが、皆さんはどう思うだろうか。

国土地理協会ホームページ

みさと市議会だより2008年8月15日号
(「新三郷ららシティ」については2・3ページ目)

【参考記事】
滋賀県知事が県名変更を問う調査の実施を発表!無駄との批判も多く(4月28日)

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