副作用は“まずない”が“絶対”でもない―ワクチンめぐる米研究

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flickr_Brian J. Matis

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ワクチンの副作用が原因で死亡したとされる事件を覚えているだろうか。

1994年から2004年までに1~3歳の子供4人が日本脳炎ワクチンの混合接種により死亡。その後、改良された新型ワクチンでも2件の死亡例が報告された。さらに2013年には、14歳の女子中学生が子宮頸がんワクチンを接種後、副作用を発症し脳障害を被っている。

もっとも、厚生労働省はワクチンと死亡との因果関係を認めておらず、接種のメリットを主張する研究者もいる。しかし、明らかになった事故は氷山の一角に過ぎないとの見方もあり、ワクチンに対する不安は根強い。特に子供を持つ親にとっては大きな問題だ。

やはり副作用は頻繁に起きているのでは?

アメリカでは先月、子供のワクチン接種は一般的に安全だとする研究結果が発表された。

pediatrics誌に載せられた記事の中で、副作用による自閉症や白血病など重大な疾患への危険は”まずない”と報告されている。研究を発表したのはRAND and Boston Children’s Hospital。2011年から67のワクチン接種の医療効果を調べたデータに基づいており、このことは以前「副作用は稀である」とした薬事協会の報告を裏付けるものとなった。

しかしながら、レポートにはまだ続きがあり、次のような点が指摘されている。

・はしかや、おたふく風邪、風疹のワクチンと、高熱から起きる発作との関係は否定できないこと。
・予防接種が発作の原因となる高熱を引き起こす場合があること。
・ロタウイルス(下痢を引き起こすウイルス)や腹痛に対する子供用のワクチンは、腸閉塞の危険が増す可能性もあること。

つまり副作用は割合こそ少ないが、場合によっては実際に起こり得るということか。

予測不可能な現実を前に大切なこと

共同研究者のコートニー・ジデンジル氏はいう。

「私はこの報告が、ワクチンが絶対に安全だと親たちを納得させるものではないと思います」

しかしながら数人の専門家は、今回の報告がきっかけになって親たちが信用しているファミリードクターを納得させられ、その結果、医者と両親がワクチンの危険とメリットを議論できるようになるかもしれない、という。

かつて日本では、技術不足から悪質なワクチンが出回り、多くの被害者を生んだこともある。しかし同時に病気に苦しむ患者を救ってきたという面も否定しがたい。

科学が発達すればするほど、新たな分野が切り開かれ、豊かな生活と同時に未知の危険性をはらむことになる。そんなとき大切なのは、リスクとメリットを丁寧に議論する真摯な姿勢なのかもしれない。

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