太平洋に漂う大量のゴミ地帯。大きさはアメリカ大陸に匹敵?

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Flickr_Kevin Krejci

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「太平洋ゴミ・ベルト地帯」をご存じだろうか。

北太平洋の中央に位置し、潮流により膨大なごみが集められた一帯のことで、正式には「The Great Pacific Garbage Patch」と呼ばれている

流された塵芥は互いに絡まり合い、やがて異常なまでの巨大な集積物となって漂い続けている。その大きさは一説によると、テキサス州の2倍、もしくはアメリカ大陸より広いとも言われてきた。

しかも問題なのは、その中にプラスチックが多く含まれていること。1970年代から急激に大量生産された人工ポリマーが、高濃度の粒子となって海の上層部に浮遊し海洋生物に大きな影響を与えている。

莫大な海のごみが突然消えた!?

2010年にはCadiz大学のアンドレ・コーザー教授たちによってごみの実態調査が行われ、約6万1000㎞にわたり141の地点から3000ものサンプルが収集された。

当初研究者は人類が作ってきたポリマーの総量から計算し、1億tの浮遊物があると考えていた。だが、調査の結果7000~3万5000tしか見つからなかった。

しかし、このことはごみの量が減ったことを意味しているわけではない。そもそも人工物としてのプラスチックには、バクテリアなどの微生物が食べるものが含まれていないため、分解されない。つまり自然に還元されない。ならばいったいどこへ消えたというのか。

プラスチックが小さくなる?

その謎を解くいくつかの考えが挙げられている。

一つはプラスチックに藻や海草などが付着し、重みのため海底深く沈んだという案。もう一つは海の生物によって食べられたという見方だ。

このことを裏付けるように、調査の過程で判明したのはプラスチックが小さくなっていることだ。科学者たちが網を使ってとらえたのは、予想よりもはるかに小さな5㎜以下の粒子だった。しかもそれらは紫外線によってやがては分子レベルにまで細分化されていくという。とすればプラスチックを摂取した魚を、食物連鎖の頂点にある人間が食べる日も近い。いや、すでにそうなっているのかもしれない。

海が教えてくれること

プラスチックの摂取は毒性作用を及ぼすことはもちろん、生物のホルモンを攪乱させると考えられている。しかもそれらを目で捉えることができないというのは、対応への手がかりを失うことになる。

コーザー教授は言う。

「どこまでも深い海はまだ未知のもので溢れている。悲しいことに海に沈んだプラスチックはわれわれの知らないうちに、世界の環境システムをミステリアスなものに変えていくだろう」

人類に与える影響は、未知数ということだろうか。

熱を加えるだけでさまざまに変形し、ポリ袋や食品トレーとしてあらゆる生活の場面で使われているプラスチック。便利であるがゆえに大量生産され、投棄されてきた。しかしこの地球上にあるものはすべて循環している。つまり人間が排出したものは、やがて人に帰ってくる。そのことを海のごみは静かに語り掛けているのかもしれない。

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