「優しさ」は脳の構造から生まれていた?米研究が示唆

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アメリカに住むHarold Mintzさんは、ショッピング・モール内である夫婦を見掛けた。彼らは「お願い、私たちの娘の命を助けて!」というメッセージを掲げていた。Mintzさんが尋ねると、夫婦は娘が白血病で、骨髄移植を必要としていると告げた。

Mintzさんは自分の白血球の血液型が娘と合致するかを診てもらうため、その場で検査を受けた。しかし結果は不一致だった。その後、ニュースで女の子が亡くなったことを知った。

しばらくして彼は名を伏せ、見知らぬエチオピアの避難民に、無償で自らの腎臓を提供した。

ジョージタウン大学のAbigail Marsh教授は、自らの臓器を提供するという「法外な優しさ」に興味を持った。そして「優しさ」とは経験・意識的なものか、それとも脳の構造や機能に関わっているのかを調べるため、Mintzさんに協力を仰いだ。

画像を見せながら被験者の脳をスキャン

実験では、Mintzさんを含め臓器提供(ドナー)の経験者19人の脳と、ドナー経験のない20人の脳をMRIでスキャンし、神経活動を記録した。

スキャンされている間、被験者は「恐怖におびえた顔」や「怒り」、または「曖昧な表情」を浮かべた人の画像を見せられた。そしてそれぞれの画像が、どのような気持ちを表わしているのかを特定してもらった。

脳の構造・機能面に差があった

その結果、ドナー経験者が恐怖におびえた人の画像を見ている時、左右で一対になってい扁桃体(感情をつかさどる器官)の右側部分が、より激しい反応を示した。

またドナー経験者の方が、人々の苦悩に対しより敏感に反応することも判明し、未経験者と比べると、脳の構造・機能面にも大きな差が見られた。

ドナー経験者は偏桃体の容積が大きい

Marsh教授はMailOnlineの中で次のように語った。

「この調査で、ドナー経験者の右側の扁桃体の容積が、ドナー未経験者に比べて、より大きいということが分かった」

教授によれば、以前サイコパス(精神病患者)を調査した際、扁桃体が小さい傾向があり、他人の恐怖に対してわずかしか反応しなかったという。Mintzさんの扁桃体がより大きかったことを考えると、興味深い情報だ。

最後にもう一度、Mintzさんの話に戻ろう。

彼は女の子の死をニュースで知らされ、ショックを受けた。しかし同時に、夫婦の態度にも驚かされたという。

なぜなら彼らは、娘を助けようとしてくれた全ての人に、そして助かるかもしれないという希望を与えてくれた全ての人に対し、感謝の言葉を伝えていたからだ。

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