知られざる多くの核兵器事故。50年前には民家に核爆弾が落ちていた

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Flickr_meth atswho

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私たちは何も知らされずに、多くの危険の中を生きているのかもしれない。そんなことを実感させる話がもたらされた。

AFPは「コマンド・アンド・コントロール」の著者、エリック・シュローサー氏に取材を行い、信じられない数多くの核兵器事故を紹介した。

裏庭に核爆弾が落ちてくる

米ソ冷戦により核兵器が大量生産されていた1958年、アメリカのノースカロライナ州にあるグレッグさんの家の裏庭に、1発の核爆弾が落ちてきた。地面には約15mのクレーターができ、数羽の鳥が死んだが、一家は軽傷ですんだ。

これはB47爆撃機に搭乗していた空軍大尉が、うっかりレバーをつかみ、爆弾倉が開いたことが原因だった。しかしその爆弾は核分裂性核種が搭載されていなかったため、核爆発を起こさなかった。

爆発を防いだのはたった1つのスイッチ

また1961年に起きた事故では、B52爆撃機が空中分解し、旋回しながら落下した。そして遠心力により、水素爆弾がノースカロライナ上空にまき散らされた。広島の数百倍もの威力を持つ水爆の爆発を防げたのは、たった1つの防御スイッチがあったからだという。

1968年には水素爆弾4発を積んだB52が、グリーンランドのチューレ空軍基地の近くに墜落した。核物質を囲む爆薬は爆発したが、核爆発は避けられた。しかし周辺は放射性プルトニウムに汚染され、1発の爆弾はいまだに発見されていない。

米国に2200発の核ミサイルが飛来?

1980年には、当時の米国家安全保障担当の、ズビグニュー・ブレジンスキー大統領補佐官が、夜中の2時半に起こされ、ロシアが核ミサイル220発を、米国に向け発射したと知らされた。更なる報告で、ミサイルの数は2200発に訂正された。

ブレジンスキー氏がジミー・カーター大統領に電話をかけようとしていた時、すでに米空軍はスタンバイに入っており、爆撃機のエンジンは点火されていた。しかしすぐに誤報だと分かり、核戦争は紙一重で回避された。原因は1個のマイクロチップの誤作動だった。

運がいつか尽きてしまう可能性

エリック・シュローサー氏は、ウィーンで開催された核兵器に関する国際会議において、次のようにコメントした。
「核爆発を起こさず冷戦を終えたことは幸運だった。問題は、運がいつか尽きてしまうということだ」

25年前にソ連が崩壊して以来、世界の核兵器は削減され、安全面への技術的な向上もあり、事故が起きる確率は減少している。それでも9カ国が現在、1万6300発の核兵器を保有している。しかも高度に自動化されたため、サイバー攻撃のリスクも生じている。

ハーバート大学のカミール・M・フランソワ氏はAFPの取材に次のように語った。
「核兵器はサイバー攻撃に対し、きわめて脆弱だ。政策立案者らは一匹狼のハッカーのみによる攻撃を想定した考えに固執している。もはや若者ではなく、国家がサイバー戦争に多くを投資している。これは新たな戦場、第5の戦争領域だ」

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