スペインにある現代のユートピア。警察も犯罪もなく、失業率も0.0%

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Flickr_Melina Huet

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マリナレダをご存じだろうか。それはスペインのセビリア県にある、約2750人が住む小さな町のことだ。

ここでは「平等」と「共有財産」に基づいて町全体が運営されており、犯罪もないため警察もおらず、現代のユートピアとも呼ばれている。

国が不景気でも、ここは失業率0.0%

町は1300ヘクタールの広大な農場を所有しており、町民のほとんどがそこで働き、1カ月35時間労働で、約1200ユーロ(約16万円)の給与を受け取っている。スペイン全土の失業率が25.0%に達した時でさえ、ここは失業率0.0%。世界経済に翻弄されない暮らしを続けている。

農場ではオリーブやコショウ、アンティチョーク、ソラマメ、アオマメ、ブロッコリなどを生産し、併設された工場で製品に加工もされている。

農場で働く人々はグループごとに分けられ、シフト制で作業することになる。翌日の作業によって人手が必要になる場合は、前もってスピーカーで呼ばれ、立会人がその旨を当事者に伝える。

大きな庭付きの家が月に16ユーロ

また自由に家を建てることも許されている。家のオーナーは450日の建設作業に参加することを条件に、村が土地や資材、建築設計、大工職人の援助も提供してくれるという。

また蓄財を目的として家を売却しないことに同意すれば、月々15から16ユーロ(約2100円)返済するだけで、90平方メートルの住居と100平方メートルの中庭がある家に住むこともできる。

また町には保育園から小学校、高等学校まであり、学費は食事付きで月15ユーロ。サッカー場や町営のスポーツ施設は、全て無料で利用できる。

貴族の土地を占拠し闘争を続ける

このような共同体の構想は、1970年代後半の経済状況に端を発する。その当時スペイン全体が不景気に覆われ、この地域の失業率は60.0%まで達した。

そのため1979年に現在の市長、ファン・マヌエル・サンチェス・ゴルディリョ氏(当時30歳)が先頭に立ち、インファンタダ公爵が所有していた土地を皆で占拠。その後、警察から何度も強制排除されながらも、闘争を続け、そこに今の町を作り上げた。

そのため町は住民が主体となって運営されており、市長の選挙も住民による直接投票。市長の給料も、皆と同じ1200ユーロ(約16万円)と言われている。

債務危機の時にはスーパーを襲撃

またゴルディリョ市長は、2012年のスペイン債務危機によりアンダルシア地方の失業率が34.0%にまで達した時、スーパーマーケットを襲撃した。そして米や小麦粉、砂糖、パスタなど、生存に必要な最低限の食料を持ち去り、困窮者に無料で寄付する「食糧銀行」に提供した。下の写真がゴルディリョ市長。

Flickr_Raquel Amaro Silva

その際、彼は次のように語ったとされている。
「不動産バブルに踊った銀行のツケを庶民が払わされている。(この襲撃は)悲惨な現状を伝えるための非常手段だ」

ゴルディリョ市長はその後もデモ行進を行い、銀行で座り込みを続けた結果、国内外において注目され、「現代のロビンフッド」と呼ばれるようになった。

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