1kgの重さは1kgじゃなかった!「キログラム」の新定義が決定

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Flickr_Christian Schnettelker

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今まで1kgの基準は「国際キログラム原器」という金属だった。しかしこれが数年前に廃止、新たな基準が模索されているなか、正確に定義できる方法が科学誌「Journal of Physical and Chemical Reference Data」の中で発表される。

基準の元となる定数を正確に求める

これに携わったのが、イタリアの国立度量衡学研究所のジョバンニ・マナ氏ら。彼らは不純物を含まないケイ素の球体を使えば厳格に1kgを規定できるとし、原子の数を測定するための基準をアボガドロ定数と決め、再計算を行った。

その結果、アボガドロ定数をより正確に求めることに成功。その数を6.02214082(11)×10の23乗(カッコ内は下2桁の不確かさを表す)とし、1kgを定義する上において有力な定数だと主張した。

アボガドロ定数とは原子を数える際の基準の1つ。炭素12という同位体の原子数を6.02214129(27)×10の23乗(2010年)とあらかじめ定めたもので、これを土台にして他の物質の原子数を求めることができる。

しかし8桁目の数に不確かな部分が存在。これだと厳密に1kgを定義づけられないとして、各国において修正する研究が行われた。またマナ氏らも2011年に再計算を試みたが、当時は精度を高めることができなかったようだ。

1kgの基準とされた合金が軽くなる

そもそもなぜ従来の基準が廃止されたのか。「国際キログラム原器」とは高さ、直径ともに39mmの白金とイリジウムでできた円柱形の合金のこと。1889年に制定されて以来、パリの国際度量衡局で厳重に保管されてきた。

しかし一定のはずだった質量が、洗浄により1億分の6g軽くなってしまい、2011年に廃止が決定。普遍的な物理量で計測するために、さまざまな定数が候補に挙げられた。

2013年にはプランク定数を基準として用いることが、国際度量衡総会で提案。しかし2014年にはこの定数の精度が十分ではないことから採用が見送られ、再び新たな基準が求められることに。そして今回、アボガドロ定数が有望であることが示される。

実はこれまでキログラムだけが、原器という人工物を基準にしてきた。やがてこれは複製され、6番目のものが日本にも運ばれて国内基準となったが、元の原器に比べ0.176mg重くなっていたという。

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