世界で初めて人間の精子を人工的に培養することに成功、仏研究チームが発表

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これまで人工的に作ることができなかった精子。しかし先日、未成熟細胞を培養し初めて人間の精子を実験室内で育て上げることに成功したと発表された。

精巣の未成熟細胞から完全な精子へ

開発を行ったのは、フランスのKallistemという企業と国立調査研究所を中心とした研究チーム。彼らは生殖能力がないとされた6人の男性の精巣から未熟な生殖細胞を抽出。

それらを生物反応装置(バイオリアクター)の中で培養し、卵子に受精できる成熟した精子細胞に育て上げることに成功。AP通信によれば将来、生殖能力が乏しい男性や、がんの化学療法で精子が減少した若い患者を助けられる可能性が出てきたという。

研究に携わったPhilippe Durand氏は報告の中で「私たちはバイオリアクターを使うことで、体外において精子形成を成功させた。これまでマウス、猿、人間など3種類の精子細胞を作り上げてきたが、これはまだ誰も成し遂げたことがない」と語っている。

マウスより複雑な人間の精子形成

しかし英紙The Independentによれば、この成果には懐疑的な見方もあるという。

シェフィールド大学のAllan Pacey教授は声明の中で「彼らが公開した画像を見る限り、確信は持てない。私からするとそれは成熟した精子細胞には見えない。彼らの査読された論文を見るまで、私は非常に懐疑的だ」とコメント。

実は2009年にも精子細胞を人工的に作り出したとする論文が発表されたが、盗用の疑いがあり信憑性に欠けるとして、数週間以内に撤回させられている。

また2011年には日本の研究者が初めてマウス精子細胞の人工培養に成功し、受精も可能であると確認されたが、人間の場合は精子形成のサイクルが72日とマウスの2倍以上もあり、複雑な過程をたどることから、今まで誰も成功していなかった。

自然に形成された精子と形態は一致

しかし先週、公式の声明が発表され、フランスの研究チームは改めて今回の成果が本物であると主張。

研究に参加したMarie-Hélène Perrard氏は声明の中で「バイオリアクターの中で育てられた精子細胞は、精巣の中で自然に形成されたものと、形態学的に完全に一致します」と発言した。

今後は、これらの精子細胞について生化学・発達遺伝学の見地からも研究をさらに推し進め、子孫に欠陥をもたらすことがないかを確かめていくつもりだと語っている。

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