「差別」は相手の心だけでなく、肉体面も傷つけているー米研究

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偏見を持って人を差別する行為は、相手の心だけでなく肉体面にも大きな影響を及ぼしているという研究結果が発表された。

差別を受けた黒人はホルモンに機能障害

調査を行ったのはアメリカ、ノースウェスタン大学の研究者たち。彼らは20年にも及ぶデータを用い、黒人と白人の身体の状態を比較。差別や偏見が及ぼす生物学的な影響を調べた。

その結果、差別を受けるという経験が累積している黒人は、白人に比べてストレスホルモンのコルチゾルの平均値が低いことが判明。

特に青年期にその経験が多いほど、コルチゾルに大きな機能障害が起き、リズムが乱されていることが明らかとなる。ここから研究者たちは、若い時期に差別を受けると、肉体的な影響が長引くと結論付けた。

コルチゾルが低いままだと病気を発症

コルチゾルとは副腎皮質から分泌するもので、タンパク質の代謝や脂質代謝、さらに免疫機構にも関与し生命に不可欠なホルモンとされている。またストレスホルモンの一種で、過度な抑圧を受けると敏感に反応するという。

たいてい朝、目覚める時には1日の活力を与えるためにコルチゾルのレベルは高く、夜になり睡眠の準備に入ると次第に低下していく。

しかしこのような通常のリズムとは異なり、変化がなく常に低い状態のままだと精神をかき乱すだけでなく、極度の疲労や心循環系の病気、記憶などの認知障害を引き起こすとされている。

差別は脳や体が発達する青年期に影響

今回の調査では、収入や教育レベル、精神状態、起床時間、その他の健康に関する行動なども考慮したが、これらの要因は結果に大きな役割を果たしていないことも判明。

研究に携わった心理学者のEmma Adam女史は報告の中で「青年期は特に重要で、脳や体にも大きな変化が生じます。このような時期に差別を受けるとその影響は肉体のシステム内にも及び、より大きなインパクトを与えることになります」と語っている。

人を差別する行為が本当に相手の身体を変化させるのなら、差別的な発言を行うことは、直接肉体に暴力をふるっていることと同じなのかもしれない。

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