「殺すのではなく地域で育てる」地域猫制を導入する和歌山県に賛同の声

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和歌山県が予てから検討していた「猫のエサやり禁止条例」について、例外措置として地域猫性を導入し、自治体が認めた場合についてのみエサやりを許可する方針であることが9日、わかった。

エサやり罰金の条例案が批判の的に

「猫のエサやり禁止条例」は和歌山県が昨年8月に案をまとめたもので、飼い主のいない野良猫に対してのエサやりを原則的に禁止とし、違反者には5万以下の罰金を徴収するものである。

発表後、パブリックコメントを募集したところ、「猫を殺す気か」、「お腹を空かせた猫を救済したら罰金というのは酷すぎる」と批判が全国から殺到。

条例案を見直すことになり、11月に修正案を発表。しかしこちらも非難が止まず、2回目の見直しを余儀なくされた。

地域猫制を導入

和歌山県は8日、批判の解消策として地域猫制度の導入を発表。

この地域猫制度は認定制で、猫を管理したいと思っている人が和歌山県に対し保護計画書を提出。

独自に定められた基準を満たしていると判断した場合、認定証が発行される。認定を受けた者は猫へのエサやりが可能となる。

また、県は避妊治療の助成やアドバイザーの派遣など行い、バックアップしていく。

さらに弱っている猫や繁殖能力のない子猫についても、エサやりを認める。このような地域猫制度を都道府県が導入するのは、和歌山県が初となる。

地域猫制度はすでに導入されている

地域猫制度は、1997年に横浜市磯子区の住民が地域で猫を世話すると言う運動を起こしたことがきっかけとなり全国に広まった制度で、既に自治体レベルでは既に導入されている。主な活動内容は以下のとおり。

神奈川県横浜市

「地域猫活動モデル事業」を展開し、飼い主のいない猫を発端とするトラブルや数そのものの減少を推進。

3名以上の活動組織の参加を募集し、市の基準を満たした組織に地域猫活動を認める。

また、猫の不妊治療に対し1頭につき5000円の助成金を交付。

埼玉県

平成20年度から29年度までに猫の殺処分数半減を目指し、23年度に実現。今後平成35年までに殺処分ゼロを目指すとしている。

平成24年度からその実用策として民間ボランティアが活動していたエサ場やトイレなどを設置する地域猫活動を行うボランティアに対し市町村を通じて補助金を交付。

県内11市町村で既に導入済で、一定の効果を上げている。

東京都武蔵野市

「むさしの地域猫の会」と協働で「猫トラブルゼロ運動」を展開。猫の不妊治療に対する助成や地域猫の飼育管理、清掃活動の支援を行う。

また、春と秋に飼い主のいない猫を対象とした「飼い主のいない猫の譲渡会」を開き、野良猫ゼロを目指す。

愛知県豊橋市

市が定める条件を満たした人物または団体に対し、飼い主のいない猫に対する不妊治療は1頭1万円、去勢治療は5000円を助成する。

この他にも地域猫を導入している地域は多く、増加傾向にある。

ふん尿被害の指摘も

効果のほうは賛否両論で、殺処分減少に効果を上げているとの声もあるものの、「役に立っていない」、「エサやりの権利を認めることでふん尿の被害が増大している」との指摘がある。

和歌山県の猫のエサやり禁止条例も野良猫によるふん尿や食い散らかしなどの被害が深刻化していることを受けての措置であり、「野良猫被害を出さないためにはエサをやらないのが一番」と言う考えに基づいている。

そのような意味では、エサやりを例外的に認める地域猫について疑問に感じる声も多く、今回の条例案で地域猫制度を作ったことについても「本来の主旨に反している」、「それでは条例の意味がなくなる」など異論も多く、意見が分かれている。

ネットユーザーからは賛成意見

地域猫制について、ネットユーザーは

  • 殺処分にならないための措置なので良いことなのでは?
  • ルールをきっちり守れるのなら効果があると思う
  • 認められた人間が言い訳をせずふん尿の始末をするなら良いと思う
  • 殺すのではなく増やさない取り組みは効果があるのでは
  • しっかり制度運用することが重要。誰かが手抜きをしたら意味が無いと思う

など、概ね賛成意見が多く挙がっている。

殺処分するのではなく、地域で猫を管理しようとする「地域猫」の構想は素晴らしいが、失敗する可能性もはらんでいる。成功の鍵は適切な制度運用になりそうだ。

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