周囲の制止を乗り越えて結婚したダウン症夫婦。結婚11年目に妻が他界

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Facebook/Andrea Annear

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2004年に、イギリスで初めてダウン症同士で結婚をしたカップルがいる。Andrea(45)とPaul(54)のふたりだ。

子どものころからずっと一緒だった

ふたりが出会ったのはAndreaが3歳。Paulが13歳の時だった。施設にやってきたAndreaは、Paulの後をついて歩いていたという。Andreaが落ち込んでいるときには、Paulはジョークや変顔で笑わせていたそうだ。

一度は離れ離れに

施設を先に離れたのはAndreaだった。障害を持つ人が地域で自立した生活を営むように援助するコミュニティハウスに移り、ホテルで働き始めた彼女だが、Paulに会えないのを寂しく思い、ソーシャルワーカーにこう告げた。

「Paulに会いたい。一緒に音楽を聴いて、ダンスをしたい。悲しい時に、もう誰も私を笑わせてくれない」

そしてAndreaがソーシャルワーカーにお願いをして、Paulと再会できることとなった。久しぶりに会ったふたりは、お互いに抱きしめあい、子どものように喜んだという。

結婚を決意したふたり。周囲の理解は得られず

ふたりの口から結婚の言葉が出たのは1995年。ソーシャルワーカーに相談したものの、「ダウン症同士の結婚は前例がない」、「周囲の助けなしでは生きていけない」、「Andreaには重い心臓病がある」、「結婚の誓いの意味がわからない」、「妊娠できない」ことからふたりの願いは叶えられなかった。

しかし、それでもふたりの気持ちは変わらなかった。「愛し合っているから、他の人のように結婚がしたい」と、ふたりは貯金をはじめ、2004年9月には周囲の理解を得て結婚できることとなった。

「普通の妻で普通の夫。私たちがなりたかったのはそれだけ」

Andreaは以前のインタビューで、「普通の妻で普通の夫。私たちがなりたかったのはそれだけ」と答えていたことがある。

ふたりで仕事をして、ふたりで家事を分け合い、普通の夫婦のように暮らしていた。

「毎朝キスをして、家を出るPaulに『愛してる』って言うの。そうしたらPaulも『僕もだよ』って言ってくれる」という言葉からも、ふたりの結婚生活が幸せなものであったことがよくわかる。

Andreaが心臓疾患で死去

寄り添い合い、愛し合って生きてきたふたりだったが、3月12日にはAndreaの訃報がイギリス国内の各メディアで報じられた。心臓疾患が原因だという。

ふたりをよく知る関係者は、「Paulは辛い時間を過ごしているだろう」と語っている。

PaulとAndreaは、結婚式の写真を毎日見ていたそうだ。

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