マウスの脳に人の脳を注入したら天才マウスが誕生。倫理的問題も

2014年12月02日 22時00分

2014年12月02日 22時00分

flickr_Duncan Hull
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マウスの脳に人間の脳を注入したところ、マウスの頭が良くなった……そんなSFのような実験結果を、米ロチェスター大学医療センターのSteven Goldman博士らの研究グループが明らかにした。

人の脳を注入したら”4倍”も賢くなった

同研究グループは、人間の胎児の脳から、未成熟なグリア細胞(神経細胞の周囲に存在する細胞で、神経細胞の位置の固定や栄養の供給、伝達物質の取り込みなど、さまざまな働きを持つ)を採取。この中に含まれる星状膠細胞を、未成熟なマウスの脳に注入した。

その後、このマウスに、軽度の電気ショックと特定の音とを関連付けて覚えさせるテストを行ったところ、他のマウスより4倍優れた成績を残すなど、高い認知能力と記憶力を持つようになったのだという

同グループによると、人間の星状膠細胞はマウスのそれの10倍から20倍もの大きさであるため、神経信号の調整機能も高いとのこと。

そしてそのことが、マウスの頭を飛躍的に良くした理由ではないかと、同グループは見ている。

サルへの実験は行わず。その理由は?

このSFのような実験結果に知的好奇心をくすぐられる人も多いはず。となれば、マウスの次は、より人間に近い動物に、移植する細胞もグリア細胞から神経細胞へ……と今後の実験にも期待したくなってしまうところだが、研究を主導したGoldman博士は、サルへの動物実験はしないことを決めたのだという。

今回の実験では、注入された人間の脳は、あくまでマウスの神経活動の効率を改善しているに過ぎない。この天才マウスは、まだマウスと言える。

しかし、今後実験がエスカレートしていけば、その結果生まれた動物と人間との境界が曖昧になっていく可能性がある。

そうした倫理的な問題への懸念が、サルへの実験をやめたことの理由のようだ。

その一方で同グループは、このハイブリッドな脳を持つマウスが、多発性硬化症などの神経疾患の研究に貢献できるとしている。

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