幼少期の記憶はなぜ残らない?脳細胞の育成で記憶が“刷新”されることが明らかに

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ヒトは2歳ぐらいから記憶の形成が始まるのだという。しかし幼い頃の記憶は残っていない人がほとんどだろう。

これを幼児健忘症といって、ヒトは多かれ少なかれ幼児期(5歳くらいまで)の記憶のほとんどを失う。

では、なぜ幼少の記憶は残らないのか。カナダのSheena Josselyn医師らの研究で、幼児期の記憶は、新しい脳細胞が発達してくると同時に失われていくことがわかった。

脳細胞育成が活発だと忘れやすく

研究では、壁がストライプ柄でビネガー臭のする小室に大人マウスを入れて電気ショックを与えるという行為を繰り返したところ、マウスは次第にその部屋に入るだけで怖がるようになった。そして、28日後には、部屋に入ると恐怖からすくんで動かなくなった。

一方、子どものマウスで同様の実験を行ったところ、電気ショックを与えても、日が経つとその恐怖が薄れることが確認された。このため、Josselyn医師らは海馬部分で新しい脳細胞が育つことで、記憶が薄れるのではとの仮説をたてた。

脳細胞育成の抑制で記憶が長持ち

その仮説を証明するために、大人マウスに電気ショックを与えた後、ランニングホイールで走るように仕向けた。これは、走ることで新しい脳細胞育成が促されるからだ。

そして予想通り、運動を数週間続けた大人マウスは実験部屋に入れられても怖がらないことが認められた。さらに、子どもマウスの脳神経発生を抑えたところ、電気ショックの恐怖の記憶が”長持ち”する傾向も確認された。

つまり、新しい脳細胞が育つことで古い記憶は忘却の彼方に押しやられることになる。Josselyn医師は今回の結果について「脳が退化する疾患の治療などにも役立つのでは」と話している。

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