“最も残酷な病”克服へ G8認知症サミット共同声明発表

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世界で患者が急増すると予測されている認知症についてG8各国が話し合う初めての「認知症サミット」は、2025年までに治療法を見つけ出すため研究費を大幅に増額することなどを盛り込んだ共同声明を発表し、閉幕した。12月12日朝のNHKニュースが報じるところによると、11日にロンドンで開かれたG8の閣僚級による初めての認知症サミットには日本からも厚生労働省の土屋副大臣が出席したほかWHO(世界保健機関)の責任者や研究者、製薬会社の関係者などが出席した。

認知症の患者とその家族を支援する「国際アルツハイマー病協会」によると認知症の患者は現在、世界全体で4400万人余り(日本国内では昨年の時点で462万人。予備軍は400万人)と推計されており、今後各国で高齢化が進み2050年にはおよそ3倍の1億3500万人を超えると予測され、今でもすでに世界で年間約60兆円を超える患者の治療や介護などにかかる費用の問題が、世界各国で経済的にも大きな問題になると指摘している。

2年前に87歳でなくなった筆者の父親も人生最後の時間は高度の認知症を患い、介護する妻(筆者の母親)や息子(筆者)の顔もわからず、用の足し方もわからなくなって、要介護度は4までいった。誤解を恐れずに言うが、認知症という病気はあらゆる病気の中で最も残酷だ。身体(からだ)の病なら看護される本人も看護する家族も心の絆は通い報われるが、認知症は「人格を喪失して行く病」であり、どこまで行っても誰も報われない。認知症にならずになくなった場合と認知症になってなくなった場合とでは、遺族が故人にたいしてもてる思い出のトーンも違ってくる。このことは、身近な親族が認知症になってしまった人にしかわからない。だから世界的な認知症患者の急増は実は経済問題にとどまらない。

サミット終了後に発表された共同声明では2025年までに治療法を見つけ出すことを目指してG8各国が研究費を大幅に増額するとしている。閉幕前には英国のキャメロン首相が演説し、「今日という日が、認知症に世界が立ち向かい始めた日として刻まれることを願っている」と述べた。ほんとうに、人類がその叡智でもってこの残酷な病を克服する日が、いつの日にか訪れてほしい。

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