“聖水”はバクテリアだらけ ちっとも清らかではなかったと判明:オーストリアの研究

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flickr_DominusVobiscum

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教会や聖堂の入り口には司祭よって祝別された水が入った聖水盤が置かれ、信徒はその水に手を浸して十字を切り、身を清めることになっている。また、ヨーロッパの各地には「聖泉」と呼ばれる泉があり、その水を飲むと病気や怪我が癒やされると言われていることは、皆さんもご存じだろう。だが、オーストリア、ウイーン医科大学の研究機関〈Institute of Hygiene and Applied Immunology〉の調査により、それらの水の衛生状態は相当悪く、飲み水として安全とは言えないことが分かった。

同大学の微生物学者Alexander Kirschner博士の研究チームがオーストリア国内21カ所の“聖泉”と、ウィーン市内21個の聖水盤を調査したところ、サンプルを採取した水の86%に糞便物質が検出され、最大6200万個のバクテリアが存在していたそうだ。

聖泉に関しては、大腸菌や腸球菌のほか、炎症性下痢の原因となるカンピロバクター、化学肥料の成分である硝酸塩も検出された。聖水盤の場合、人が大勢やってくる教会ほど水に含まれるバクテリアの濃度が高かった

Kirschner博士によると、“聖なる泉”に病を癒やす効果があると言われたのは中世の話。当時、都市部の飲料水は衛生状態が保たれておらず、人々が下痢など、健康を害することが多かった。それに比べれば森林の泉は汚染度が低く、飲めば健康状態が改善したことから「奇跡の水」と認識されるようになったと考えられる。だが今の水道水は当時とは比べものにならないほど衛生的で安全だ。それに対し、森の泉は農業用の化学肥料などの影響で汚染されており、中世のころとは状況が逆転している。

Kirschner博士は、“聖泉”の水を飲まないように注意を促す必要があり、教会関係者は泉のそばに警告を掲示するべきだと指摘する。また、教会の聖水盤に関しては、頻繁に水を取り替え、バクテリアの繁殖を防ぐために塩を入れておくことをすすめている。

皆さんも観光等でヨーロッパの有名教会へ行かれる際にはご注意を。聖水に手を浸したあとは、“手を洗う”ことをくれぐれもお忘れなく…。

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