文学作品をじっくり読むと、人の表情からその心情をうまく読み取れるようになると判明:米研究

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気候もよくなり、読書の秋到来といった感じだが、皆さんはどんな本を手に取ることが多いだろう? ミステリーやロマンス小説など、一気にサクサクっと読めてしまう作品ももちろんいいだろう。しかし、いわゆる文学作品をじっくり読むことで、人の気持ちうまく読み取る能力が向上するようだ。

米ニューヨークの総合私立大学〈ニュー・スクール〉の心理学者たちが、ボランティアの被験者たちに、俳優の目の表情からその心情を読み取ってもらう実験を行った。まず本を何も読んでいない状態で表情を推察してもらい、その後、文学作品(イギリスのオレンジ賞、アメリカの全米図書館賞などの受賞作品)、大衆小説(ロマンス小説やミステリー)、ノンフィクションを読んでもらい、再び俳優の目の表情を読み取るテストを行ったところ、大衆小説とノンフィクションを読んだあとは表情の理解度にこれといった改善は見られなかったが、文学作品を読んだあとは、理解度が著しくよくなっていることが分かった

すべての作品に当てはまるわけではないが、一般的に大衆小説と呼ばれる作品は読みやすく、人物像がストーリーを通じて一貫しており、理解しやすい傾向があるが、文学作品は、扱う内容もテーマも様々、登場人物の内面もとても複雑で、人物像や心情が何通りにも解釈でき、理解するのが難しい場合が多い。そのような作品を読み、いろいろ想像を巡らせて理解しようと努力することで、ひいては、実際の人間関係でも、相手の心情をよく理解できるようになり、人とよりうまくかかわれるようになる可能性があると研究者は指摘する。

だからと言って、大衆小説がよくないというわけではない。エンタテイメントとして楽しめる、優れた作品も多いのだから。しかし、実験で具体的にこのような結果が出ると、たまにはじっくり文学作品を読んでみようかという気持ちにさせられる。

今回の研究結果は学術誌『サイエンス』に発表された。

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