なじみ深い歌を声に出して歌うことで認知症患者の脳機能が高まることが判明:米研究

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歌をうたうことのメリットは数々あるが、重度の認知症を患う人たちにも効果があることがあらためて確認された。

米国バージニア州立ジョージ・メイスン大学の神経科学者、ジェーン・フリン博士らの研究チームが東海岸の介護施設に入居している認知症の高齢者を対照に、歌をうたうグループセッションを定期的に行った。セッションは1回50分。それを週に3回、4カ月継続し、対照グループとして参加者の半数は歌をうたわず、ただ聴くだけに留めてもらった。セッションで取り上げたのは、ミュージカル『オズの魔法使い』の「虹のかなたに」、『サウンド・オブ・ミュージック』の「ドレミの歌」、ディズニー映画『ピノキオ』の「星に願いを」など、おなじみの曲ばかり。

そして、4カ月後に認知機能テスト、特定の時刻を指定し、時計の文字盤に針を描き込むテスト、生活への満足感を問うテストなどを行った結果、実際に大きな声を出して歌をうたっていたグループは、聴いているだけだったグループと比べてスコアがセッション開始前より伸びており、中度あるいは重度の認知症を患う人たちの改善が最も顕著であることが分かった。

多くの人は歌をうたって育ち、その記憶はずっと残っている。たとえ脳の機能が低下していても、歌うという行為によってそこに存在する記憶がよみがえるのだとか。また、メロディを聴き、声に出して歌うことで、右脳と左脳の両方が活性化するらしい。フリン博士は「認知症がかなり進行している状態であってもあきらめず、患者は自分が没頭できること、心惹かれることをする必要がある。歌をうたうセッションは、お金をかけず、簡単にそれを実践できる良い方法だ」と述べている。

昔よく聴いた曲をふと耳にしたとき、当時の記憶がふわーっと蘇る体験は誰もがしたことがあるだろう、なじみのある曲を歌っているとき、認知症を患う人たちの頭の中でも、そのようなことが起きているのかもしれない。

フリン博士らの研究結果は、サン・ディエゴで行われた「神経科学学会」で発表された。

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