音楽を習っても頭はよくならない?「モーツァルト効果」には確たる根拠なしと判明:米研究

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音楽には、「痛みを緩和する」「仕事の能率を上げる」「認知症が改善される」など、様々な効果が期待できることが知られている。とくに子どもへの効果に関しては、モーツァルトをはじめとするクラシック音楽を聴くと頭が良くなる、成績が上がるという「モーツァルト効果」の存在を信じている人たちが大勢いるが、ハーバード大学の研究により、これは単なる通説で、ほとんど根拠がないことが分かった。

ハーバード大学の心理学者サミュエル・ムフ氏らの研究チームが、音楽のレッスンが子どもに与える影響について調べた過去の研究をあらためて精査したところ、「楽器を習うなど、音楽のレッスンを受けていると、子どもの認知発達が促進され、知能が大幅に向上する」との考え方を裏付ける証拠は見当たらなかった。

さらに同研究チームが就学前(4歳)の子ども29人を2つのグループに分け、一方には音楽のクラス、もう一方には美術のクラスを受講してもらい、6週間後に認知テスト、語彙テスト、算数のテスト、空間認識テストを行ったところ、2つのグループの成績に顕著な違いは出ていないことが判明した。

また、45人の4歳児を音楽のクラスを受講するグループと、何も受講しないグループに分け、同じテストを行ったところ、きめ細かな統計解析を行っても、やはり両者の成績に有意差は認められなかったそうだ。

もちろん、だからといって子どもにとって音楽教育が無駄ということではない。主任研究者のメフ氏は「太古の昔から音楽は人間独自の活動でした。4万年前のものと思われる“骨フルート”が発掘されていますし、歌はそれよりもずっと前から存在していたと考えられます。音楽が存在しない文化は世界中にひとつもありません。音楽は人間にとって何らかの意味があり、それを子どもたちに教えないのはとてもばかげています」と述べている。

頭がよくなるか否かは別にして、音楽が子どもの世界を広げ、心を豊かにしてくれることに異を唱える人はいないだろう。あまり打算的なことは考えず、文字通り「音を楽しむ」ことを体験させてあげることが大切なのではないだろうか。

メフ氏らの研究者オンライン科学誌『PLOS ONE』に掲載された。

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