人間の脳は生まれつき田舎の風景を見ると気持ちが落ち着くようにできていると判明 都会の風景は混乱と不安をもたらす可能性あり:イギリスの研究

2013年12月14日 11時30分

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のどかな田舎の風景を見ると、心が落ち着くという人は多いだろう。どうやら人類の脳に刻まれた記憶がそうさせているようだ。

イギリスのエクセター大学の心理学者、イアン・フランプトン博士の研究グループが、田舎の風景写真と都会の風景写真を見た場合、脳がどのような反応を示すかMRIで確認する実験を行った。被験者に田舎の写真を見せた場合、脳の辺縁系の落ち着いた気分や平穏感に関係する領域が活性化する。辺縁系は俗に「古い脳」と呼ばれ、感情や本能、記憶を司る部位であり、そこが活性化するということは、脳が特別な情報処理を行わずに反応していることを示唆している。

一方、都会の写真を見せた場合は、“視覚的複雑性”に関連する脳後頭部の視覚野が活性化する。フランプトン博士によれば、脳は都市という環境についてよく理解していないため、見たものすべての情報を処理しようと奮闘しているのだとか。

脳の反応の仕方は風景の美しさには関係ないそうで、夜景など「美しい都会の風景」を見ても、「たいくつな田舎の風景」を見ても、反応は変わらなかったそうだ。また、都会で生まれ育ち、今も都会で暮らしている人たちであっても、反応は同じだった。

人間が都市で暮らすようになったのはここ数百年のこと。人類の長い歴史から見ればごく最近の習慣であり、私たちの脳はまだ都市の景観がもたらす大量の刺激に対処するようにできていないのかもしれない。もうひとりの研究者マイケル・デプレッジ教授によれば、慣れない環境の情報処理をする過程で混乱や不安が生じ、それが怒りや攻撃的行動、異常な行動へとつながる可能性もあるという。たとえば動物園や研究室等で囚われの身になっている動物が奇妙な行動を取ることがあるのはその一例だ。これが人間とどの程度関連性があるのかはまだわからず、今後の研究が必要となるが、ヒトが都会へ移り住むことに伴い、鬱や行動障害が増加しているのは事実であり、「都会の住人も動物園の動物たちと同じような症状に悩まされているのかもしれない」とデプレッジ教授は指摘する。

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