レイプや性的虐待を受けた少女たちのPTSD克服に長期曝露療法が有効と判明:米研究

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レイプや性的虐待の被害者となった少女たちにとって、自分の身に起きたことを他者に語るのはとても辛い経験に違いない。だが、長期曝露療法と呼ばれる治療法が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ少女たちに効果を発揮することがわかった。

曝露療法とは、トラウマの原因となった悲惨な体験を繰り返し他者に語り、その後、これまで辛い体験を思い出させる場所として避けてきた現場を再び訪れ、そこがもう安全な場所であることを確認しながら安全な活動を行い、トラウマを克服していくという方法。悪夢やフラッシュバックなど、PTSDを患う兵士の治療にも用いられ、大人の性犯罪被害者の治療では効果が証明されていた。しかし、10代の少女に対しては、症状を悪化させる可能性もある危険なアプローチと考えられ、これまであまり用いられてこなかった。しかし、ペンシルベニア大学の心理学者Edna Foa博士の研究チームが従来のカウンセリングによる治療との比較を行ったところ、曝露療法を受けた少女たちのほうがかなり高い確率でPTSDを克服できることがわかった。

研究チームはレイプまたは親や親戚から性的虐待を受け、PTSDを患う13~18歳の少女61人を2つのグループに分け、一方には従来のカウンセリングを行い(励ましや慰めの言葉を送って辛い体験を忘れるよう促し、患者が自分の体験を話す気持ちになったときだけ、耳を傾けてあげる)、もう一方のグループには、曝露療法を行った。治療期間はどちらも14週間。その後、1年間、鬱状態の評価なども含めフォローアップ調査を行ったところ、PTSDを克服できた割合は従来のカウンセリングを行ったグループが54%だったのに対し、曝露療法を行ったグループは83%だった。

Foa博士によると、レイプや性的虐待を受けた少女たちは、「被害を防げなかったのは私のせい」と罪悪感を抱き、自分を恥じている場合が多い。曝露療法は辛い治療法であることは間違いないが、少女たちは「私の話を聞きたいと思ってくれる人がいる」ことにまず安心し、その後、時間をかけ、自分が受けた仕打ちやそのときの気持ちを繰り返し語っていくうちに、事件に対して新しい見方ができるようになる。そして、「私に被害を防ぐ力はなかった、非があるのは相手であって私ではない」、「事件は過去の出来事であり、現在の私を脅かすものではない」と考えられるようになっていくのだそうだ。

Foa博士らの研究は米国医師会の医学誌『Journal of the American Medical Association』(JAMA)に発表され、同誌の解説にあたっている専門家は「曝露療法に対してこれまでセラピストたちが抱いていた不安を軽減させるもの」として、この研究を評価している。

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