50歳のロックファン、激しいヘッドバンギングで硬膜下血腫に

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YouTube/UDRmusic

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先日、医学誌『Lancet』に、独ハノーファー医科大学のちょっと珍しい症例が報告された。

頭痛を訴えて来院

患者は50歳のドイツ人男性。頭痛を訴えて脳神経外科へやってきた。頭痛は2週間前から始まり、症状が次第に悪化しているという。外傷や打撲の形跡はなく、薬物の乱用なども認められない。

聞けば、頭痛が始まる4週間ほど前、ロックバンド「モーターヘッド」のライブに行き、激しくヘッドバンギングをしていたのだとか。

CT検査で慢性硬膜下血腫を確認

CT検査をしたところ、男性は慢性硬膜下血腫(頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に血が貯まり、この血腫が脳を圧迫)であることが判明。頭蓋骨に小さな穴を開けてチューブを挿入し、血腫を除去する手術を受けた。

経過は良好で、2カ月後には全快したそうだ。

原因はヘッドバンギング?

慢性硬膜下血腫の主な原因は頭部の外傷・打撲、アルコール多飲、感染症、動脈硬化などだが、男性の場合、どれにも当てはまらなかったため、やはり原因は頭を高速で激しく前後に振るヘッドバンギングだったと考えられる。

その後の検査で、男性の脳には良性嚢腫があることが分かり、医師たちは、この嚢腫のせいで脳が損傷を受けやすい状態になっており、頭を激しく振ったことで静脈が破裂したのではないかと見ている。

過去に3例 死に至ったケースも

医学文献を調べたところ、ヘッドバンギングを原因とする硬膜下血腫は3例しか見つからなかったが、そのうちの1例は急性で死に至っていたそうだ。

筆頭著者のAriyan Pirayesh Islamian医師はメディアの取材に対し、「ヘッドバンギングをやめろなどと、偉そうなことを言うつもりはありません」と前置きをしたうえで、「ヘッドバンギングの“合併症”に関するちょっと変わった症例を紹介し、ロックファンの中に激しいヘッドバンギングにのめり込んで危険にさらされる人たちが存在し得ることを医療従事者に知ってもらうのが目的でした」と述べている。

そして、こう付け加えた。「この症例により、モーターヘッドは世界屈指のハードなロックンロール・バンドであるとの評判が裏付けられたことになります」

モーターヘッドは30年以上のキャリアを誇るイギリスのハードコア・ロックバンド。世界中に熱狂的なファンがいる。

flickr_Kris Krug

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