母乳による子育ては産後鬱のリスクを低下させるとの研究結果

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母乳による子育ては赤ちゃんの健康、認知能力の発達にプラスになると言われているが、母乳を与える母親にも精神的なメリットがあるようだ。

逆に、授乳を行っていない母親は産後鬱になるリスクが高くなることが、ケンブリッジ大学、ロンドン大学クイーン・メアリー、スペインのセビリア大学の研究により明らかになった。

長期調査のデータを用いてリスク分析

研究チームは、1990年代にイギリスで誕生した赤ちゃん約1万4000人に関し、各赤ちゃんが2カ月、8カ月、21カ月、32カ月になった時点での母親の状態を調査したデータを活用し、妊娠中の鬱症状の有無を考慮したうえで分析を行った。

本人の意志に反し、授乳ができない母親のリスクが最も高い

分析の結果、妊娠中から母乳による子育てを希望し、実際に授乳をしている母親は鬱になるリスクが最も低かった。もともと母乳では育てる意志がなく、実際に授乳をしていない母親のリスクはその2倍。

最もリスクが高かったのは、母乳で育てる意志があったのに、実際にはできなかった女性で、授乳をする意志があり、実行している女性に比べてリスクは4倍もアップすることが分かった。

授乳の有無と鬱の関連性は子どもが2カ月のときに最も顕著となり、8カ月以降低下する。

大きな挫折感も要因に

研究者によると、母乳を与えている母親が鬱になりにくいのは、授乳時に分泌される、いわゆる“快楽ホルモン”の効果によるものと思われるが、心理的な要素も大きいと考えられる。

公衆衛生上のメッセージとして母乳のメリットが強調され、母乳による子育てが推奨されるなか、出産前は母乳で育てるつもりでいたのに、自分にはそれができないとわかった女性の場合、大きな挫折感に苛まれ、気持ちがめいってしまう可能性があるのだ。

理解とサポートが重要

研究を率いたMaria Iacovou博士は、保健機関が母乳を推奨するだけでなく、授乳がうまくできない母親たちに対して、適切に精神面、技術面のサポートをしていくことが重要と指摘し、「授乳ができない女性に周囲が思いやりを示し、そのような人たちが鬱に陥るリスクが高いことを理解しておくべきです」と述べている。

Iacovou博士らの研究は『Maternal and Child Health』に発表された。

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