タブレットで読書をすると、物語のプロットが頭に入りづらくなる?

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電子ブックを活用している人は増えつつある。多くの書籍を1つのデバイスに入れて、持ち運べるし、読みやすさも向上している。だが、「紙の本ほうが、内容が頭に入るんだよね」という人も多いだろう。どうやらそれは、本の“厚み”とページをめくるときの感覚に関係しているようだ。

ノルウェーのスタバンゲル大学、フランスのエクス=マルセイユ大学の研究者が同じ書籍を紙媒体と電子ブックで読んだ場合の理解度を比較する研究を行い、先月、イタリアで行われた学会で結果が発表された。

紙の書籍 vs Kindle

被験者は50人の大学院生。読書習慣や、タブレットの利用度は全員同じくらい。彼らを2つのグループに分け、一方にはペパーバッグで、もう一方には電子ブックリーダー(Kindle DX)でアメリカの推理作家エリザベス・ジョージの短編(フランス語訳)を読んでもらい、読むのにかかった時間、読書中の感情的な反応を記録した。

また、読了後には、物語のさまざまな側面に関するテストを広範囲にわたって行った。

Kindleグループはプロットの理解度低し

両グループを比較したところ、感情面の反応はほぼ同じ。物語の設定、登場人物、出てきた物など、細かい事柄に関する質問でも両者とも同じような答え方をしていた。

しかし、1つ1つの出来事がいつ起きたかという点に関して、Kindleで読んだ学生は、ペーパーバッグで読んだ学生に比べて著しくスコアが低くく、筋(プロット)のポイントとなる14の出来事を正しい順番で並べるテストでは、2倍近くスコアが低かった。

紙に触れる感覚と視覚がプロットの理解に影響?

この結果について、主任研究者のAnne Mangen氏は、ページをめくるときの感覚が影響しているのではないかと推測している。

紙の書籍の場合、本を手で持ち、指でページをめくる際に、どれくらい読み進んだか、あとどれくらい残っているかということがページの厚みによって感覚的に分かるが、電子書籍の場合、触覚フィードバック機能がついていても、その感覚は紙の書籍にはおよばない。

「これだけ進んだ」「あとこれだけで読み終える」という物理的感覚が、物語の展開を理解し、内容を吸収するるうえで助けになるというわけだ。

テキストの種類によってデバイスを使い分けるべき?

Mangen氏は「タブレットで文学を読むと、何が失われるのか理解するためには、さらなる研究が必要」とし、どのようなコンテンツにどのデバイス(iPad、Kindle、紙の書籍)を使うべきかか、どのようなテキストならデジタル読書によって内容の理解が妨げられる可能性が少ないのか、科学的証拠に基づく知識を出版者に提供しなくてはならないと述べている。

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