同情心が強まると、人は相手を守るべく攻撃的になると判明:米研究

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flickr_ Monkey Mash Button

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「共感」「同情」「思いやり」は、温かなやさしい感情を連想させるが、強い共感や同情が、やさしさとは相反する「攻撃性」を導くものであることがニューヨーク大学バッファロー校の研究により明らかになった。

カギを握るのは2つのホルモン

それは「オキシトシン」と「バソプレシン」。オキシトシンは俗に愛情ホルモン、共感ホルモンと呼ばれるが、作用レベルが高くなると、仲間は大事にするが排他的になったり部外者に攻撃的になったりする。また、オキシトシン受容体のうち、GG型と呼ばれる遺伝子型を持っている人は他の遺伝子型を持つ人より共感力が高いと言われている。

一方、バソプレシンは動物がつがいのパートナーや子どもを守るべく発揮する攻撃性に関与するホルモンで、バソプレシンのAVPR1aと呼ばれる受容体遺伝子が短い場合、共感力が低く、自己本位になりがちと言われている(長い場合はその逆)。

大切な人が誰かから脅威を与えられたどう思う?

研究者は、共感力と攻撃性とホルモンの関係を検証すべく、調査と実験を行った。

まず被験者に自分が大切に思っている人に関する質問をし、この1年でその人が第三者から脅威を与えられるような状況があったかどうか、その際、自分の感情がどのような反応を示したかを詳しく記してもらい、その後、被験者の神経ホルモンの状態を調べるため、唾液を採取した。

かわいそうな人を助けるために戦う?

研究者は次に、被験者に別室にいる人物A(赤の他人)に関するエピソードを伝え、どのような反応を示すか見る実験を行った。

このAは経済的苦境に陥っており、極めて気の毒な、同情に値する状況にある。この人物はこれから別の第三者(ライバル)とあるテストを受け、点数を競うのだが、被験者はこのライバルにホットソースを飲ませ、パフォーマンスを低下させることができる。

たくさん飲ませれば、それだけライバルの行動を阻止でき、Aを有利にすることができるわけだが、被験者はライバルにどれくらいホットソースを飲ませることにするのか?

ホルモンも同情心と攻撃性の関連を裏付け

最初の調査の場合、被験者は全体的に、愛する人に脅威を与えた第三者にネガティブな攻撃的反応を示していることが確認された。

次の実験でも、人物Aへの同情が強い人ほどライバルに飲ませるホットソースの量が増えることがわかった。

それを裏付けるように、唾液の検査でオキシトシンのGG型受容体を持つ人は他の遺伝子型を持つ人より高い攻撃性を示し、バソプレシンのAVPR1a受容体が長い人は短い人より高い攻撃性を示すことがわかった。

愛する人を守りたいあまり…

こうした結果について、研究者は「私たちは誰かを大切に思い、気に掛けていると、その人のためになることをしようとしますが、第三者がそれを邪魔した場合、(自分が直接被害を被ったわけではなくとも、相手に特別な非があるわけではなくとも)、その第三者を傷つけるような行動に出る可能性があるのです」と述べている。

これは過保護な親の行動などを想像すると納得しやすいだろう。

ニューヨーク大学バッファロー校の研究結果は『Personality and Social Psychology Bulletin』に発表された。

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