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「社員発明の特許権は企業のもの」という改正案が閣議決定!経済界が要請

123RF

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社員が職務上の研究で得た発明について、従来は「発明者のもの」とされていた特許権を「企業のもの」と変更する特許法改正案が閣議決定した。

特許法等の一部が改正に

経済産業省は13日、「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されたと発表した。法律改正の概要は、以下の3項目だ。

  • (1)職務発明制度の見直し
  • (2)特許料等の改定
  • (3)特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備

知的財産の適切な保護および活用を実現するための制度を整備したという。

社員発明の特許権は会社のもの

「職務発明制度の見直し」の改正は、以下のようになっている。

権利帰属の不安定性を解消するために、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から使用者等に帰属するものとします。

あらかじめ契約や規則で定めておけば、新しい技術などが発明された場合の特許権は、発生時から企業のものになる。

発明社員の権利も保証?

また、改正案にはこのようなことも書かれている。

従業者等は、特許を受ける権利等を取得等させた場合には、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有するものとします

あらかじめ特許権を会社のものだと定める場合、発明に関わった社員はそれに見合う報酬などを企業側に求める権利が保障されるという。

狙いは「特許を巡る争いリスクの低減」

この法改正の理由は、「権利帰属の不安定性を解消するため」だという。初めから特許権を企業のものとすることで、社員と企業の間での特許権を巡る争いリスクを低減させることを狙っている。

この法改正について、宮沢経済産業大臣はこのように述べた。

特許の権利が初めから企業のものだとはっきりさせてほしいという経済界の要請に応える一方、発明者にはしっかり報酬などを与えていくことを両立させた法改正だ

経済界の要請に応えたということだ。

ネット上には賛否両論の声

この法改正について、ネット上にはさまざまな反響が寄せられている。

  • そりゃそうでしょう。試作や実験などは全て企業の資産を使って行うんだから
  • 逆に結果が出なくても損失を被るのは企業
  • 「それに見合う報酬」がいかほどなのかが問題
  • パワーバランスを考えれば、個人の権利とするのが正当
  • 個人への報酬が多くないからって、外国に行ってしまう研究者が増えたりしないか?
  • そんなことやるから技術者が海外に逃げるんだよ
  • 大企業さん。自民党への献金が生きたね。おめでとう

「研究環境等を提供しているのは企業だから、特許権が企業に帰属するのは当然」という声がある一方で、「発明社員の権利は本当に守られるのか?」「技術者の流出に繋がらないか?」など心配する声もあった。

これまでの特許権裁判では、発明者に利があった

職務上の発明についての対価を巡って、これまで国内で多くの訴訟が行われた。

  • 「青色LED製造装置」発明の報奨金を巡って裁判、日亜が8億4千万円を支払うことで和解
  • 「半導体フラッシュメモリ」の発明を巡る裁判、東芝が8700万円を支払うことで和解
  • 「光ディスク情報読み取り技術」の裁判、元社員が勝訴。日立に1億6千万円の支払い命令

今まで、研究者が企業に発明の対価を求めた訴訟では、「研究者側の勝訴」や「和解」が相次いでいた。

このような特許権を巡る争いのリスクを低減させようと、経済界が政府に法改正を要請していたのだと思われる。

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