年475億円分の薬が飲まれずに残っている!?医師が「治療自体が崩壊する」と危惧

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年間400億円を超える「残薬」が発生していると推計されている。

処方された薬の24%が「残薬」に

日本薬剤師会が2007年に在宅患者812人の残薬を調査したところ、患者の4割超で「飲み残し」や「飲み忘れ」があった。残薬となっている薬は処方された薬全体の24%にもあたり、金額に換算すると1人あたり一月で3220円分の薬が服用されていなかったという。

これを厚生労働省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計すると、年間の残薬は475億円にもなる。

自己管理が困難で残薬に

残薬は、「飲み残し」や「飲み忘れ」「薬の切り替え」などで発生する。

複数の薬を処方された高齢者が「何をどう飲めばいいか分からない」と薬を飲まなかったケースや、1日3回分の食後の薬を処方されたが、1日1食しかとっていなかったために薬が残ってしまったケースなどが報告されている。

認知能力が落ちている高齢者にとって、複数の薬を自己管理するのは難しいことなのだろう。

「治療が崩壊する」と医師

日本在宅薬学会の狭間研至理事長は、残薬が多く発生している状況についてこのように指摘している。

薬を飲んでいない患者に、飲んだことを前提に対応しているわけだから、治療自体が崩壊する。薬代も無駄になる

日本医師会のアンケートでは、「患者が薬を飲み忘れたり飲むのを中断したことで症状が改善しなかったことがある」と答えた医師が36%いた。

医療費拡大にもつながる

日本では医療費が年々増加している。2013年度の概算の医療費は前年度比2.2%増の39兆3千億円となり、11年連続で増加した。介護も含む保健医療費でみると、日本の国内総生産(GDP)の1割を超えており、先進国の平均を上回っている。

政府は給付に見合う負担を求めるために消費税増に踏み出したが、高齢化が進む日本では今後医療費がますます膨張していくことが予想される。

残薬解消が薬剤師の最重要任務に?

日本薬剤師会の山本信夫会長は平成26年3日に開かれた「医療フォーラム」で、医療費適正化の問題についてこのように述べた。

後発品の使用促進より経済効果が大きいのは残薬の確認と適正使用の確保

残薬の解消と適性使用の確保が、これからの地域医療で薬剤師が果たす最も重要な役割になるという認識を示した。

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