裁量労働者の「過労死」が労災認定される!遺族が実態を調査

2015年05月12日 12時50分

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123RF
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「裁量労働制」で働いていた男性の過労死が認められた。

過労死と認定

東京都の三田労働基準監督局は、証券会社アナリストとして裁量労働制で働いた男性が心疾患で亡くなった件について「過労死」として労災認定した。

実際の労働時間ではなく「みなし時間」で給料が支払われる「裁量労働制」で、過労死が認定されるのは異例のケースだ。

会社は労働時間を把握せず

男性は証券アナリストとして裁量労働制で働いており、残業時間は月40時間とみなされていた。2013年7月に倒れ、心筋梗塞で死亡。

過労死として労災認定されるには、「直前1ヶ月の残業時間が100時間を超える」か「発症前2~6ヶ月の残業時間が月平均80時間を超える」かが基準とされている。

亡くなった男性は裁量労働制で、会社が男性の正確な労働時間を把握していなかったことやみなし残業時間が月40時間とされていたことから、当初は労災認定は難しいとみられていた。

遺族が証拠を集める

男性が過労死と労災認定された背景には、遺族による実態調査があった。

男性の遺族は、男性が顧客に発信していたリポートの記録や同僚の証言などを基に労働実態を調査。男性が午前6時40分頃~午後5時30分までに30を超えるリポートを発信していたことや、午前3時頃に起床して市場動向を分析していたことなどが判明した。

名ばかりの裁量労働

また、男性が会社から他の従業員より早く帰らないように言われていたことや、高熱にも関わらず出勤を命じられていたなどの状況も分かった。

遺族は、みなし残業時間は40時間とされているが、実際には発症前1ヶ月の残業は133時間、発症前2~6ヶ月の平均残高時間は108時間だったとして、労災認定を申請した。

ネット上には「裁量はない」という声

裁量労働制で働いていた男性の過労死が労災認定されたという異例のケースに、ネット上にはさまざまな反響が寄せられている。


裁量労働なんて名ばかりだ、という声が多数投稿されていた。

政府は「裁量労働制」を広げる方針

政府は、時間でなく成果で評価するいわゆる「残業代ゼロ法案」と共に、「裁量労働制」の対象を営業職にも拡大する方針だ。

しかし、ただでさえサービス残業が問題となっている状況なのに、裁量労働制を導入すればさらに過重労働になるのではないかなど懸念の声も多い。

「裁量労働者にも注意喚起して」と厚労省

厚生労働省は、事業者にこのように呼びかけている。

事業者は、裁量労働制対象労働者や管理・監督者についても、健康確保のための責務があることなどに留意して、過重労働とならないよう十分な注意喚起を行うなどの措置を講ずるよう努めましょう

名ばかりの裁量労働になっていないか、過重労働になっていないか、など企業側が厳しく管理することが重要となる。また、万が一の際に泣き寝入りしなくて済むように、労働者側も実際の労働時間を記録しておくなど対策をとっておいたほうがいいかもしれない。

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