通報窓口の弁護士が「内部告発者名」を市に連絡…職員は懲戒処分に

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「京都市情報館」HP

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内部告発した職員の氏名を弁護士が本人の承諾を得ずに市に伝えていたことが分かり、衝撃が広がっている。

弁護士が氏名を連絡

京都市の男性職員が昨年3月、内部通報を受け付ける京都市の「公益通報外部窓口」に内部告発をしたところ、内部記録を持ちだしたとして12月に停職3日の懲戒処分を受けた。

男性は、自分が通報したことを市が把握していたのではないかと疑問に思い、通報外部窓口の弁護士に相談。

すると、弁護士は通報メールに「自分が通報者だと推認される覚悟がある」などと書かれていたとして、市に氏名を伝えたことを認めたという。

「氏名は知らされない」と案内

京都市は2007年に内部告発を受け付ける「公益通報外部窓口」を設置。市のホームページの「公益通報制度、外部の窓口」という項目には、次のように書かれている。

通報対象者の氏名は本市に知らされません

氏名は市に知らされないと明記されている。

19件中16件の氏名が市に伝わる

しかし、2014年度までの5年間で、職員が実名通報した19件中16件の氏名が市に伝わっていたという。

京都市は「本人の了承を得ている」と主張しているが、昨年内部告発をした男性職員は「事前確認も事後確認もなかった」と話している。

ネット上には「罠」という声

通報外部窓口の弁護士が内部通報者の氏名を市に伝えていたことを受けて、ネット上には反響が殺到。

他にも「これは酷い」「罠だな」「こういう事があるから内部告発が進まない」など、批判の声が続々と投稿されている。

2006年に「公益通報者保護法」が施行

2006年、公益のために通報を行った労働者の不利益な取り扱いを禁止する「公益通報者保護法」が施行された。

2012年時点で民間企業の46.3%が制度を導入。

行政機関での内部通報・相談窓口の設置率は、2015年3月31日時点で府省庁および都道府県は100%、市区町村は52.4%。都道府県の70.2%が外部窓口を設定している。

47.2%が「通報しない」

内部告発者への報復は法律で禁じられているが、左遷させられたり訴訟になるケースも少なくない。

消費者庁が2012年度に実施した調査によると「違反行為が行われていることを知った場合に通報しようと思うか」という質問の回答結果は次のとおり。

  • 通報する 10.2%
  • 原則として通報する 42.5%
  • 原則として通報しない 31.8%
  • 通報しない 15.4%

47.2%が「原則として通報しない」「通報しない」と回答。また、正社員以外では「通報しない」という回答が52.5%と過半数を超えた。

報復への懸念が強い

「通報しない」「原則として通報しない」という回答の理由で最も多かったのは、「不利益な扱いを恐れがある」(34.4%)。

また、22.5%が職場の同僚が違反行為を通報することを「望ましくない」と考えているようだ。

消費市庁「保護法の見直し」を検討

このような状況を受けて、消費者庁は「公益通報者保護法」の見直しを勧めている。

内部告発者への報復人事をした企業に指導や勧告、課徴金などの行政的措置を課せるように法改正することを検討しているという。

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