「すごくヘン」原作ものだらけのドラマ界に脚本家・山田太一氏が警鐘

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12/18深夜放送のTBS『ゴロウデラックス』に、ドラマ『男たちの旅路』『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』シリーズなど大ヒット作を次々と送り出し、日本ドラマ界の一時代を築いた脚本家・山田太一氏が登場。

原作ものだらけの現在のドラマ界について厳しい見解を語った。

大御所、 ヒットドラマの裏側を語る

御年81歳ながら今も現役で執筆を続ける山田氏。山田ドラマの代表作と言えば、1980~90年代にかけ第4シリーズまで放送された『ふぞろいの林檎たち』だ。

若き日の中井貴一、時任三郎、柳沢慎吾らが演じた主要人物について、山田氏は「三流、四流と言われる大学の学生に取材するといろいろと(ネタが)出てくる。一流大の学生は、何もしなくても(女子が)寄ってくる。でも、三流、四流大だとなかなか人柄を見てもらえない。そんな“粒ぞろい”ではなく“ふぞろい”の若者たちを描きたかった」と、語った。

また、1977年放送の『岸辺のアルバム』は、当初「こんなに暗い内容ではドラマは無理」と考え、小説として連載をスタート。それを読んだプロデューサーからドラマ化の話をもらい「元々ドラマでやりたくて書いていた作品だったので快諾した」と、大ヒットドラマ誕生の裏側を明かした。

 原作ものだらけのドラマ界に喝!

番組終盤、MC稲垣吾郎は「今はテレビのプロデューサー、映画もですけど、いろんな漫画を読んで、時々、舞台も観て、そこから面白い物を見つけている」と、プロデューサーの勉強熱心さをねぎらったが、山田氏は「それはダメ!」と、一蹴。

困惑する稲垣らに対し、山田氏は「脚本家になろうと思っている人にとっては、人をバカにした話。だって、オリジナルでストーリーを書こうと思って、こういう話をこういうタッチで書こうと思って入ってきたわけですよね」

「それを『お前の話はいらない。このベストセラーを脚色しろ』『この漫画が当たりそうだから脚色しろ』…そう言われてどう思います?」と、問いかけた。

これを受け稲垣は「そうか。どう思うというより、それが当たり前になっちゃってる。ドラマはほとんどが原作ものですからね」と、頷き、 山田氏は「だからそれがダメ。すごくヘンだと思う」と、ため息をついた。

 脚本家のドラマ離れが加速する?

山田氏は「プロデューサーも作家であるべき。自分たちでどうして考えない?ストーリーを。自由に何でも作れる立場に立ったわけでしょ、プロデューサーにしたら」と、指摘。

さらに、「もちろんベストセラーを脚色したいって気持ちもわかりますよ。当たってもらわなきゃ困るわけだし。そういうのもあってもいいと思うけど、今みたいに脚本家のオリジナルを尊重しないやり方は、業界がどんどん安っぽくなってしまうと思う」と、苦言を呈した。

山田氏は番組の最後に「冷遇されれば『じゃ、俺はゲームに行くよ』となる。漫画の原作ってのもあるでしょう。(脚本家が)いなくなってきますよ、バカバカしいから」と、脚本家が置かれている現状に警鐘を鳴らした。

 「面白い原作探してきて」の現状

実際、下っ端シナリオライターでもある筆者も、とあるプロデューサーとの会話の中で、「こういう話はどうですか?」と提案したところ、「面白いね、何て原作?」と聞かれ、「私のネタです」と伝えると「じゃあさ、それに似た原作探してきてよ」と、当たり前のように言われたことがある。

「そんな原作ありません。盗作じゃないんだから…」という言葉を必死に飲み込み、笑顔で「探してみます~」と答えた自分が本当に情けなかった。

しかし、原作もの『下町ロケット』が大当たりしたTBSの番組でこんなことを言えるのは山田氏しかいないだろう。山田氏の言葉を聞き、密かに拍手を贈ったライターが大勢いると思う。

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