アマゾンに出版社が抗議…その前に再販制度を見直してみては

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ashinari0418

学生向けに書籍価格の10%のポイント還元を行うサービス「Amazon Student」が、事実上の再販契約違反だとして、緑風出版や晩成書房などの中小出版社がアマゾンへの出荷停止を決めた。

再販制度に守られている書籍の価格

ここでいう再販契約とは、再販制度(再販売価格維持制度)のことだ。

通常、メーカー(出版社)から商品を仕入れた小売店は自由に価格を設定できる。しかし書籍、雑誌、新聞、音楽CDの4品目だけは再販制度の対象となっており、メーカー側が最終価格を決め、それを小売店に守らせることができる(大学生協などを除く)。

つまりメーカーが小売店に商品を売り、小売店がそれを消費者に売る(再販売)するときの価格が維持されるのである。これが再販制度だ。

なぜ書籍に再販制度が適用されるのか? 出版業界では「安値販売が実施されると売れる本しか流通しなくなり、書籍の多様性が損なわれる。また、街の書店の品ぞろえが貧弱になる」と主張されることが多い。

今回、出荷停止に踏み切った緑風出版も「このままでは定価販売を守る街の書店が消えてしまう」と朝日新聞の取材に答えている。

アマゾンのポイント還元が再販制度に違反しているかどうかは、公正取引委員会などの判断を待つ必要があるだろう。しかし、再販制度が時代にそぐわなくなっていることは間違いない。

ウェブの時代に再販制度はマッチしない

現在、ウェブの普及と流通網の整備により、地方にいてもネット通販でレアな書籍をすぐに注文・購入することが可能だ。

これに対し、書店で学術書や古い書籍を取り寄せると、1週間以上待たされることも少なくない。読者から見れば、書籍の多様性に貢献しているのはむしろアマゾンのようなネット書店といえる。

さらに書籍の新刊発行点数は右肩上がりを続けており、2012年には過去最高の8万2204点に上っている(出版ニュース社調べ)。1冊あたり実売部数が減っているため、出版社が「数撃ちゃ当たる」方式で本を作っているからだ。

1日200点以上の新刊が出ている計算であり、当然、街の小さな書店ではさばききれない。つまり、書籍の多様性に貢献することができていない。

無論、これは街の書店が消えていいという話しではない。しかし、時代に合わせて変化するのがビジネスだ。旧態依然とした再販制度にしがみついていても、出版業界の未来は拓けないだろう。

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