“オンカロ” ~ 10万年の時間軸で考えるフィンランドの放射性廃棄物処理施設とは

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flickr_Ars electronica

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原発を廃棄するにしても、維持するにしても、原発に関して私たち人類が対処しなければならない問題は、放射性廃棄物の処理だ。小泉純一郎元首相が語る“原発ゼロ論”でも、この問題は大きく取り上げられている。本稿では、フィンランドで進められている放射性廃棄物の処分場をめぐる議論について取り上げてみたい。

 「放射性廃棄物を宇宙に打ち上げる」「海底廃棄」などさまざまな方法が検討されているが、今の時点で一番有力視されている処理方法は「永久地底処分」だ。

 フィンランドのオルキルオトでは世界初となる高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場の建設が進められている。この建築物は半永久的に保持されなければならない。オルキルオトの地層は18億年前から続く岩盤で成り立っている。この固い岩を削って作られる地底都市のような巨大なシステム(建築物)が“オンカロ”だ。10万年保持されるように設計されている。

 10万年の時間軸の下で設計する建築物というのは、人類史上初の試みだ。ここではあらゆる可能性を考慮しなければならない。地球環境の変化、文明の変化、隕石の落下。考え始めれば切りがないと担当者は話す。

 廃棄物が一定量に達すると施設は封鎖される。そして二度と開けられることのないようにしなければならない。まさにギリシャでいうパンドラの箱であり、日本でいう玉手箱だ。

 しかし、5万年後、10万年後、地球で暮らす知的生命体(今の人類とは異なるかもしれない)に危険性を確実に伝える術はあるだろうか。言語も違えば、文化も異なるだろう。彼らは“オンカロ”を、“失われたアーク”のような、宝物が隠された場所と思うかもしれない。もし、言語、記号が通じ、危険性を伝えることができたとしても、危険と言われるほどに興味が湧いてくるのが知的生命体の宿命だ。

 設計者、専門家にしても、10万年の時間軸のなかでの議論は尽きることがないと言う。

 現状を考慮するのはもちろんだが、原発問題を考える上での時間軸は少なく見積もっても10万年は必要だ。世代で言うと3万世代後の人々のことも考えなければならない。これは未来の人々に対して、21世紀を生きる私たちが負うべき責任と言える。

 

 

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