現代の九龍城 香港最後の魔窟「重慶大厦」

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flickr_feserc

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かつて香港には「九龍城砦」と呼ばれる巨大スラム街があった。無計画に増築を重ね、まるで迷路のような造りで、一度入ったら出られないと囁かれた世界でも稀な「魔窟」である。九龍城砦は、香港の中国返還が決まったことなどをきっかけに1994年に取り壊されてしまったが、現在も「香港最後の魔窟」と呼ばれ、かつての九龍城砦を彷彿とさせる建築物があるのをご存じだろうか?

その建物は「重慶大厦(チョンキンマンション)」。1961年、九龍・尖沙咀地区に建てられた高層ビルである。周囲には高級ブティックなどが立ち並ぶ香港でも指折りの開かれた場所にありながら、重慶大厦の猥雑さは際立っている。17階建ての建物の中には、多くの両替店や安宿、布の仕立て屋などが営業していて、中国だけでなく中東やアフリカなど、様々な地域から訪れた人々が生活している。

映画『恋する惑星』の舞台にもなり、世界的に知られるようになった重慶大厦内。以前、実際に宿泊したというライター・笹川隆二氏によると「館内に二つ設置されたエレベーターは、それぞれ偶数階と奇数階しかとまらず、宿の受付と部屋が別の階だったので一度一階に降りなければならなかった。部屋には入ったものの、壁にはこぶし大の穴が開いていて、ネズミが飛び出してきた」とのこと。

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