糞便微生物移植の今:様々な胃腸疾患において、手術も薬も要らなくなる可能性が高い治療法

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flickr_Robert McDon

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“糞便微生物移植”というと、なにやらとてつもないものをわざと専門的に表現したのかと思ってしまうが、そう、ご想像の通りだ。アナタは正しい。しかし、あえて簡単に言わせてもらおう。ウ◯コの移植だ。それが手術や薬に頼ることなく、様々な病気に効果があると、医学界では静かな波紋を呼んでいる。

潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、クロストリジウム・ディフィシル感染症、便秘、自己免疫障害、肥満、メタボリック症候群…などなど。それらの病状で併発した精神病などを含め、今までに他人の“健康な便”の移植だけで回復してしまったケースは数多く、その安全性はお墨付きだ。ただし、糞便移植は何度かやる必要がある人が大半で、一度の移植だけでは完全回復を果たせないほど重症な患者が多いらしい。大抵は家族や友人の便を貰うそうだが、健康な便であれば誰のものでもいいとの事だ。

さて、ここは一つPlosOneのブログに掲載されていた例を紹介しよう。とある男性は潰瘍性大腸炎を患い、手術まであと3日を数えていた。そんな時に糞便移植の事を知り、手術をキャンセル。健康な便を持つ親友の一人にお願いして移植を行ったらしい。結果を言うと、手術しか手はないと思われていた潰瘍性大腸炎の彼は、糞便移植で完全回復を果たした。その経験の一部始終は、“The Power of Poo(ウ◯コのパワー)”と題されたブログの中で、体験談の一つとして紹介されている。このブログには数多くの成功談や質問コーナーの他に、自分でやる方法・DIY(Do It Yourself)なども記載されており、切実に情報を求める人たちの健康への砦となっている。

忘れないで欲しいのは、コレをやるにあたってドナーの便が安全・有効かどうかを検査する必要があり、HIVや寄生虫などの有無を調べなくてはならないとFDAが定めた事である。アメリカでもあまり例を見ない治療法なので、残念ながら日本での糞便微生物移植は今の所ほぼ不可能だと思われる。しかし、もしこれが主流となれば抗生剤や手術がいらなくなる疾患が沢山あるのは間違いなさそうだ。

胃腸の疾患に悩まされている人たちは、「糞便移植」で検索してみるといいだろう。ひどい便秘症から難治疾患まで、様々な病気に有効だと思われるこの治療法。将来、日本でも実施される事を祈るばかりである。

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