凶悪犯罪者に共通する生物学的特徴がある?罪を犯す人間を事前に予測する事は可能なのか

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“凶悪犯罪者となりうる人間を事前に予測する”という、倫理的な物議を醸す研究がある。もし妊娠中に、子供が遺伝的な凶悪犯罪者の危険因子をはらんでいると知ったら、アナタは未だ見ぬ胎児を中絶しようと考えるだろうか?「凶暴になる人間には、予測可能な危険因子が潜んでいる」と語るのは、米ペンシルベニア大学の神経犯罪学者エイドリアン・ライン教授。今回は同氏が著書「The Anatomy of Violence: the Biological Roots of Crime」で暴きだした、“凶悪犯罪者の危険因子”とは一体何なのかをご紹介しよう。

ライン教授によると、凶悪犯罪者には次のような特徴がある。①安静時の脈拍数が低い、②乏しい前頭葉の機能、③高テストステロン値、④子供の頃の乾燥してひび割れた唇(ビタミンB2欠乏のサイン)。

面白い事に脈拍数の低さは“恐怖の欠如”と関連しているらしく、高い確率で犯罪者の予測になるのだという。けれどこれらの危険因子に加え、幼少時にネグレクトなどの過去がなければ凶悪犯罪者の予測には繋がらない。また、ネグレクトが無くても妊娠中の栄養失調や出産の複雑化によっても“発症”する事がありえるといい、衝動性と感情を司る前頭葉は、これらで簡単にダメージを受ける可能性がある。他にも母親が妊娠中に喫煙していれば、凶暴な犯罪者になる確率が2倍も増えるそうだ。

しかしこれらの特徴があるといって、個人が凶悪犯罪者になるというのは間違いだ。ライン氏自身、脳スキャンは64人を殺めた殺人者のものと類似しており、脈拍数が低く、栄養失調があり、出生時にも問題があった。けれど彼は学者であり犯罪者ではない。「自分にはいつも両親がいた」と、ライン氏。ネグレクトや虐待を受けなかった事実が、彼を凶悪化させなかった所以だとライン教授は語る。彼は生物学的特徴だけが犯罪者を決めるのではないという、生き見本なのだ。

ライン教授は、彼の長年の研究を使用すれば、服役中の囚人の誰を釈放するべきかの判断は付けられるだろうと語る。彼の辿り着いた生物学的特徴と脳スキャンで、どの囚人が犯罪を繰り返すかの予測は付けられるとの事だ。これまでの研究でも、脳スキャンで前頭葉の働きが悪い囚人は、その後4年の間に犯罪を繰り返す可能性が2倍になることがわかっている。

また、乳がんに特有の遺伝子があるのと同様、凶悪犯罪者の遺伝子なるものも存在する可能性がある。しかし、もしそれが存在した場合、凶悪犯罪者としての芽が出る前に、それは病気のように治療が出来るものなのだろうか? 凶悪犯罪者を事前に見抜く事は社会の安全に役立つかもしれないが、もしその危険因子が自分の子供に存在したならば……あなたはどう思われるだろう?

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