交配が可能だっただけではない!ヒトの近縁種ネアンデルタール人も言葉を話した可能性アリ

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flickr_hairymuseummatt

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現生人類に最も近いと言われているヒト属ネアンデルタール人。近年の研究では、旧人ネアンデルタール人は人類の祖先ではなく、ホモ・サピエンスと祖先を共有するヒト属の一種であることがほぼ明らかになっている。つい先日「人類の起源は豚と猿人類の交雑種かも?」という衝撃的な新説をご紹介したばかりだが、ネアンデルタール人とヒトは事実交配が可能であり、アフリカに住むネグロイドを除く全ての人類に、ネアンデルタール人との交雑を示す遺伝子が1〜4%存在するという研究結果もある。

さて、このネアンデルタール人。現生人類よりも原始的で知能が低く言葉もなく、大柄で筋肉質で猿人類のような顔だと推測されたい放題だが、積極的に火を使い、石器や壁画なども見つかっている事から、「当時のホモ・サピエンスとさほど変わらなかったのでは?」という声も多数ある。今回の研究で浮上したのは「ネアンデルタール人にも言語があったのでは」という主張。マックス・プランク進化人類学研究所のDan Dediu氏とStephen C. Levinson氏は、これまでの文献のすべての要素を再検証した結果、現代言語と音声の発祥は、少なくとも我々がネアンデルタール人と共有する50万年前の祖先までさかのぼることができると論文で主張しているのだ。

現在、多くの言語学者が想定している言語発祥のシナリオがある。人類のような言語は他の動物に類をみないため、言語は人間の進化の過程で突然に現れたか、霊長類にただ一度の突然変異が現れ言語を持つに至ったという「不連続性理論」がそれだ。Dediu氏とLevinson氏の主張はそれと真っ向から対立する「連続性理論」で、言語は我々の祖先の間で言語的体系から発展してきたに違いないとするものだ。これは「不連続性理論」が示唆する言語の起源(〜5万年前)を10倍も上回り、ヒト属ホモが180万年前に誕生してから、50万年前にホモ・ハイデルベルゲンシスが出現するまでの間に起こったというものだ。この説は、突然変異による突発性言語を支持する不連続性理論者には反するが、生物学的および文化的な革新を説明するに、緩やかな言語の獲得の方がはるかに妥当であることを示唆している。

近年の考古学的発見や遺伝子データは、アフリカを出たヒトがネアンデルタール人と遺伝的にも文化的にも関わり合いがあった事を示唆している。 そして我々の遺伝子の中にネアンデルタール人と交雑したというヒントが得られるように、ひょっとすると我々の言語にも絶滅した旧人の名残りがあるのかもしれない。Dediu氏とLevinson氏によると、言語を持つヒト属同士の出会いにより、言語は混じり合い多様化していったという可能性が見えてくるのだ。

言語は我々が考えていたよりもずっと古代から使われていたのかもしれない。少なくとも文献の再検証により浮上した「現在言語の多様性の一部は古代の別種族の出会いによるもの」という説は、アフリカと非アフリカ言語の構造特性を比較したり、コンピュータシミュレーションによる分析でも検証可能であると、研究者らは語っている。

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